ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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ブラジルの春に咲くパウ=ブラジルの花

ブラジルの春に咲くパウ=ブラジルの花

 ブラジルの歴史に関する記述を読めば、たいてい「パウ=ブラジル」という木の名前が最初に登場します。ブラジルにいる人なら、誰でもパウ=ブラジルの名前は知っています。
 ブラジルがポルトガル人のカブラルに発見されたとされる1500年ごろには、多くのヨーロッパ人がこの木を染色で用いるために、ブラジルにやってきたそうです。ブラジル東北部の海岸を中心に原生していた木々をほとんど伐採してヨーロッパに持ち帰ったといわれています。


苗木を植えて50年を経たパウ=ブラジル(高さ約10m)

苗木を植えて50年を経たパウ=ブラジル(高さ約10m)

 パウ=ブラジルは現在のサンパウロ市内でも見かけることができると言うのですが、通りを歩いていても、似たような葉っぱの木があったり、どれがパウ=ブラジルか知る機会も少なかったりで、素通りしてしまうことがほとんどです。ましてや花が咲く様子はめったに見かけることはできません。
 ご多分にもれず、一市民としてブラジルに暮らして10年目にして、ようやく初めてパウ=ブラジルの花が咲くのを見かける場に遭遇することができました。個人が所有する田舎の農園でのことでした。
 パウ=ブラジルの花は春に咲くそうで、サンパウロでは毎年9月頃に咲くそうです。今年は遅咲きで、10月下旬に咲き始めたということです。
 花が咲きはじめたのは苗木を植えてから30年を過ぎてからということで、見かけたパウ=ブラジルは50年前に苗木を植えられたそうです。
 パウ=ブラジルの木は今でも有用な材木ということなのですが、伐採される危機以外に、木の幹に虫が入り込んで、一本の木を枯らしてしまう恐れがあるそうです。実際、花が咲いていたパウ=ブラジルにも虫が入り、入り込んだ口から薬を注入して虫が駆除されていました。
 また、花は毎年咲いても、不思議なことに毎年実がなるというわけではないそうです。実がならなければ増殖する機会も減ってしまいます。
 
 パウ=ブラジルとは、ブラジルを発見した時にポルトガル人が呼び始めた名前だそうです。パウはポルトガル語で木を意味し、ブラジルはラテン語で赤などを意味する言葉に由来するそうです。通すと「赤い木」という意味になります。パウ=ブラジルと呼ばれていた木の名前からブラジルの部分だけで呼ばれるようになり、国名の起源になっています。
 赤色の染料として木の赤い芯が使われたそうですが、伐採した木の幹の中心を見ると、時間が経っていたため赤い色ではありませんでしたが、赤色から変化したような茶色の芯の部分を見ることができました。 


伐採したパウ=ブラジルの幹の切り口。芯の部分が切りたての時は赤い

伐採したパウ=ブラジルの幹の切り口。芯の部分が切りたての時は赤い


パウ=ブラジルの花

パウ=ブラジルの花



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