スペイン

スペイン:バレンシア

大田 朋子(おおたともこ)

職業…ライター、エッセイスト、講演家

居住都市…ブエノスアイレス(アルゼンチン)
→ケント(イギリス)
→バレンシア(スペイン)

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火祭り前になると開催される「張り子展示場」の様子。

火祭り前になると開催される「張り子展示場」の様子。




毎年3月12日~19日のバレンシアでは、スペイン3大祭りの一つ“火祭り(ラス・ファジャス)”で盛り上がります。

火祭り開催期間中は、街の公共スペースには、およそ600体もの張子人形が飾りつけられ、街全体がテーマパークのようです。
この張子、巨大なものだと30メートルにも達するほど!
(参照:「バレンシア火祭りの張り子、通りにお目見え」 http://www.ima-earth.com/contents/entry.php?id=2012315233847


時事テーマを風刺的に扱うことの多い張り子。画像は昨年9月から最高21%に値上がりしたIVA(付加価値税)によって市民生活が苦しめられている様子を表している。

時事テーマを風刺的に扱うことの多い張り子。画像は昨年9月から最高21%に値上がりしたIVA(付加価値税)によって市民生活が苦しめられている様子を表している。

市民は気に入った張り子人形に投票して、毎年その年のナンバーワン張り子を決定。そして、一位に選ばれた作品以外の張り子は、最終日に「すべて」が燃やされることになっています。


昨年初めて火祭りを経験した筆者ですが、張り子が燃やされる様子を目の当たりにして、なんだか底に流れる哲学のようなものを感じました。

だって、これらの張子たちは、1年もの年月をかけて有名な芸術家や画家、彫刻家、市民がデザインし作り上げたもの。にもかかわらず最終日夜10時を過ぎると、小さい張子から大きい張子へと次々に、そして容赦なく火がつけられていくのです。


制作者は1年分のワークの結晶が一瞬にして燃え尽き灰になることを知りながら、これほどの作品を作り上げる。。。「始まり」があるから「終わり」がある、「出会い」があるから「別れ」がある、という人生の常を、張り子制作&焼失によって表しているかのよう。


張り子展示場での投票。入場料2ユーロを払って受け取るチケットの裏にお気に入りの張り子番号を記入する(成人の部と子供の部からそれぞれ1つずつ選びます)。会場を後にする際に入場券の裏を提示し、チケットバーコードを読み取り、お気に入り張り子の番号が係員によって入力されることで投票される仕組み。

張り子展示場での投票。入場料2ユーロを払って受け取るチケットの裏にお気に入りの張り子番号を記入する(成人の部と子供の部からそれぞれ1つずつ選びます)。会場を後にする際に入場券の裏を提示し、チケットバーコードを読み取り、お気に入り張り子の番号が係員によって入力されることで投票される仕組み。

ちなみに、火祭り開催前に、「張り子人形の展示会」が開催され、そこに行けば誰でも張り子の人気投票に参加できます。


今年は、筆者には特別気に入った張り子が見つからなかったので、以前住んでいた地域の火祭り協会が制作した張り子に感謝と応援の意味を込めて投票しました。


ちなみに、見事一位に輝いた張り子は、めでたく「火祭り博物館(Museo Fallero)」に殿堂入りします。





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