オランダ

オランダ:アムステルダム

フリードリヒス カオル

職業…フリーライター

居住都市…アムステルダム市(オランダ)

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ごく最近(2,3年年前)に、沿岸から石油とガスが発見されたといわれる、カナリア諸島3島(テネリフェ島、ランザローテ島、フェルテヴェンテュラ島)。アフリカ北部に近い大西洋上に位置するこの島々にとって、このニュースは現地の人たちを不安にさせた、といいます。

















この美しい自然をそのままに・・・。

この美しい自然をそのままに・・・。

なぜ、彼らは不安になったのでしょうか。それは、ヨーロッパ諸国の石油・ガス会社が、これに目をつけたからなのです。ヨーロッパ諸国の会社が乗り込んできて、石油とガスの供給に手を貸すとなれば、自然の破壊は目に見えています。彼らはそれを憂いた、というわけです。石油やガスの輸入をロシアにほぼ依存している西ヨーロッパの多くの国々では、できることならば、カナリア諸島のような『近場』から石油やガスを輸入したいという希望があるため、今回の発見にも非常に乗り気だったといいます。


たとえば、ヨーロッパの大手ガス会社では、各島の一部沿岸を、ガス採集目的で確保するために、莫大な資金を投じて購入しようとしたが、島民の希望を全面的に受け入れ、カナリア諸島自治区長がすべてこれを退けました。その理由はもちろん、島の自然を守るためです。


この島々でしか見られない、固有の植物もあるため、自然保護は必須。

この島々でしか見られない、固有の植物もあるため、自然保護は必須。

カナリア諸島は、地域収入源のほぼ90%を観光に頼っています。しかし、2008年以降続く欧州を中心とした金融危機のため、経済状態は下降傾向にあり、観光客数は5年前から半減しているそうです。もし、石油やガスを西ヨーロッパ諸国へ輸出することになれば、翳りをみせる観光業に見切りをつけ、石油とガスの輸出のみで島の経済は潤うと見積もられていました。


しかし、カナリア諸島自治区長は、『自然あってのこの島を、石油やガス採掘のために破壊することだけは絶対にできない』とし、各大手石油・ガス会社からのオファーをすべて退けたそうです。その決断に、島民や観光客らは拍手喝采。すぐに島々が潤わずとも、島の自然を保護しながら、今まで通りの観光地としての島が残されることになりました。カナリア諸島の、自然を尊重した素晴らしい決断。他に例をみない、話題のニュースになりました。


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