ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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アントニオさんが著したモザンビークの伝統医療に関する『nyungwe文化の健康と病気』

アントニオさんが著したモザンビークの伝統医療に関する『nyungwe文化の健康と病気』

 英語やポルトガル語は、15世紀の大航海時代に始まり、18世紀から19世紀の産業革命以降、西洋列強の植民地争奪戦の影響によるグローバリズムで世界中に広がった言語です。英語やポルトガル語が英国やポルトガルで話され続けることに加え、世界各地で長年受け継がれてき土着の言語のある土地において、今後はどのくらい影響を与え続けるのか、今はもしかするとその流れの方向性が少し変わって来ているかもしれません。

 経済から環境、健康問題まで、産業革命以降の世界は英語と欧米文化を通じて狭まった感がありますが、あらゆる分野で西洋文化一辺倒では世界が行き詰まり感を感じずにはいられません。グローカリズムも同時進行している話題が、日本語のメディアなどでも見られます。

 医療でいえば、日本でも西洋医学が主力を占める以前、東洋医学(例えば鍼灸や漢方など)に代表される伝統医学や民間療法で病気を治療してきたことがあります。

 アントニオさんは(前回のブログで簡単な紹介あり)、アフリカの伝統医療についてサンパウロ大学大学院の博士課程を修了し、父方のnyungwe族の中で受け継がれてきた伝統医学に関して『nyungwe文化の健康と病気』という本にまとめて出版しています。

 モザンビークの土着の人々は西洋医学がもたらされても、伝統医学に頼って来た人も少なくなかったそうです。モザンビークの伝統医学は、ポルトガル人がモザンビークに到着する500年以上前からアフリカで受け継がれ、マラリアも薬草で治していたそうです。特殊な知識と技能を持つ医師に相当する人物が、スピリチュアル療法も行ってきました。

 西洋医学が導入された現在ですが、伝統医学の知恵も再認識されるようになり、モザンビーク伝統医学協会 (AMETRAMO)も設立され、西洋医学と統合する事で新しい医療の世界が模索されています。

 モザンビークの伝統医学の中で健康とは、「先祖、自然、全知全能の存在を含めた他者が、自分自身と調和のとれた交わりがあるということを意味する」とアントニオさんは説明します。アフリカ土着の宗教は先祖崇拝を大切にし、先祖は、超越した存在と人間の間をとりもつ仲介者の位置づけにあるそうです。


モザンビークの民芸品

モザンビークの民芸品





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