スイス

スイス:フリブール

小島 瑞生(こじま みずき)

職業…公務員
居住都市…フリブール(スイス)

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スーパーに並ぶジビエ肉

スーパーに並ぶジビエ肉

 秋が深まる11月は、スイスの人々が心待ちにする食材がお目見えする季節。日本でも秋限定商品としてかぼちゃや栗、安納芋などを使った商品が人気ですが、スイスでも秋の味覚は毎年大好評です。

 そしてその中でも特に忘れてはならないのが、秋のごちそう「ジビエ」。ジビエとは、自然の中で生きる野生動物を狩猟で捕獲した食肉のことで、アルプスの山々や森に囲まれたスイスに住む人たちにとっては、昔ながらの伝統料理でもあります。

 スイスでジビエは『ヴィルト(ドイツ語圏)』や『シャッス(フランス語圏)』と呼ばれることが多いです。


レストラン前に提示されていた「ジビエメニュー」

レストラン前に提示されていた「ジビエメニュー」

 さてジビエの季節になると、レストランで「ジビエメニュー」が出たりしますが、九州ほどの小さな国スイスで仕留められる、天然のジビエ肉の供給量は需要に全く追いつきません。

 そのためこの時期スイス国内で消費されるジビエ肉の6割以上は、近隣ヨーロッパからの輸入だったりします(スイス農業情報サービス(LID)/2022年)。

 輸入ジビエ肉のうち半分ほどがオーストリア産。なんでもオーストリアは狩猟ハンターの数がスイスよりも多く、広い範囲で森林が広がっている国のため、新鮮なジビエ肉が手に入りやすいのだそう。


スイスでは、イノシシやシカなどのジビエ肉と栗や赤キャベツといった付け合わせが人気

スイスでは、イノシシやシカなどのジビエ肉と栗や赤キャベツといった付け合わせが人気

 ではスイスで仕留められたスイス産天然ジビエ肉はどこへ行くのかというと、高級レストランに卸されたり、個人の得意先に買われていったりするのだとか。

 この時期はスーパーでも多くのジビエ肉が棚に並びますが、こういった店でのジビエ肉や一般的なレストランで提供されるもののほとんどは、輸入ジビエかスイスで飼育された「養殖ジビエ」。

 そんなわけで、スイス在住の友人に「日本の北海道では、年間15万頭ほどのシカが駆除されるけれど、そのほとんどは廃棄されてしまう」という話をしたら、「えっ、そんな!あんなに美味しい肉、捨てるなんてモッタイナイ!」と残念がっていました。


スイスには鹿牧場も多くあります

スイスには鹿牧場も多くあります

 まだまだジビエは敷居が高いイメージを持たれることの多い日本ですが、今後はスイスのように、誰もが楽しむ秋の味覚の一つとして、身近な存在になると良いな、と思います。



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