この夏久しぶりに、ベルン州の高地はベルナーオーバーラント地方にある、グシュタード(Ｇｓｔａａｄ)という村に来ました。

　スイスに来たばかりの頃、まだ他の町のことをよく知らなかったのですが、グシュタードは見聞きしたことがあったので、ここをたびたび訪れていました。

　ちなみにグシュタード村の名前を知っていたのは、スイスの中でも、有名人がよく来る“人気高級リゾート地”である、と聞いたことがあったからです。

　実際夏の終わりのグシュタードは、多くの観光客でにぎわっていました。そして通りに並んでいるのは数多くの高級ブランド店。どの店もスイス風なのか、シャレー（山小屋）風の可愛らしい店舗になっており、のどかな雰囲気を醸し出しています。

　何十年も前から、グシュタードには多くのセレブが集まりますが、特に王室メンバーやハリウッドスター、世界的に知られたミュージシャンなどの有名人が滞在するので、“アルプスのハリウッド”なんていう呼び名もあるとかないとか。

　グシュタードは、絵葉書のような美しい牧歌的風景のみならず、セレブが求める優雅な暮らし、そして一番大事な「プライバシー」がしっかり守られた環境で、ゆったりした生活が楽しめることから、ますます著名人や富裕層お気に入りの場所となっていったようです。

　さて、村の通りを歩いていると、泉の前に可愛い鳥の像が座っていたので近づいてみると、像の名前は“Ｓｉｔｔｉｎｇ　Ｄｕｃｋ（腰かけるアヒル）”とあります。

　『メリー・ポピンズ』『サウンド・オブ・ミュージック』主演で知られる女優ジュリー・アンドリュースと映画監督だったブレイク・エドワーズ夫妻が、２０１４年にグシュタードに贈ったモニュメントなのだそう。

　ところで、山深い地域にある小さな村グシュタードが、こうして高級リゾート地にまでなったもともとのきっかけは、スイス西部のレマン湖畔の町モントルー（Ｍｏｎｔｒｅｕｘ）から自然豊かでのどかな風景が広がるツヴァイジンメン（Ｚｗｅｉｓｉｍｍｅｎ）を結ぶ鉄道が、１９０５年に開通したことでした。

　これにより、観光客は容易にグシュタードで途中下車することができるようになり、そこからグシュタードが人気観光地となっていったのです。

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