スイス

スイス:フリブール

小島 瑞生(こじま みずき)

職業…公務員
居住都市…フリブール(スイス)

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1年を通して人気のリゾート地、クラン・モンタナ(夏に撮影)

1年を通して人気のリゾート地、クラン・モンタナ(夏に撮影)

 新年早々、スイス南西部ヴァレー州クラン・モンタナ(Crans-Montana)にあるバーにて火災事故が起き、40人の死者、そして119人のけが人が出てしまいました。

 犠牲者の多くはスイス人ですが、クラン・モンタナは冬のリゾートとして国外からの観光客にも人気の場所ということで、フランスやイタリア、ポルトガルといった他欧州国出身の犠牲者も多く出ています。けがをした人の多くは大やけどを負っており、生命にかかわるレベル。

 地元の医療機関ではとても対応しきれないため、スイスの他の地域やフランス、ドイツといった国外の病院で治療を受けている人もいます。

 命を落とした40人は、ほとんどが10代~20代の若者たち。遺体の損傷が激しく、身元確認が難航しました。

 さまざまな情報が錯綜(さくそう)していた中、当時バーにいた人たちなどの証言や撮影された動画から事情が明らかになってきていますが、大火災が起きるような事故現場で動画撮影をしている人が多かったことにまず違和感を覚えました。


犠牲者の方々に哀悼の意を捧げます

犠牲者の方々に哀悼の意を捧げます

 公表されている動画をいくつか見ていると、店内で火事になった時、ここまで大ごとになると思わなかった若者たちが多かったように思います。パーティ中で、しかもお酒が入っていた状態だった若者たちは、それを“演出”のようにとらえ、SNSで“映える”動画を撮りたいという軽い気持ちだったのかもしれません。

 動画の一つに、年が明けた直後か、スパークラー(パーティ用のキャンドル花火)が差し込まれたシャンパンボトルを、店の従業員や客が地下室のラウンジで高く掲げている様子が撮影されています。その直後、花火が低い天井に覆われた防音材に引火し、あっという間に火が広がっていく様子が分かります。

 また別の動画では、火の手が上がった天井部分をわれ先にと動画撮影する人たちの姿や、火を消そうとしている若い男性の姿がありました。

 筆者はこのバーを訪れたことはないのですが、特に10代~20代の若者に人気だったそう。

 ただバーといえば年齢制限があり、午後10時以降は、スイスで飲酒(ビールやワイン)が許される16歳以上でない未成年者は、保護者同伴でなければ入店できません。しかしこのバーでは年齢制限がなく、16歳以下の子どもも出入りできた、と証言している現地報道を聞いて驚きました。

 さらに恐ろしいことに、バー内の非常口は施錠されていたり、スタッフも安全対策に関する研修を受けていないなど、以前から安全対策や経営の仕方に疑問を持たれていた店でもありました。

 そのため現在、過失致死、過失傷害、および過失による火災発生の容疑で起訴されたバー経営者である、フランス国籍の夫婦に対する刑事捜査が開始されています。

 また2026年1月6日に行われたクラン・モンタナによる記者会見の中で、毎年の定期検査が2020年から一度もなされていないことも判明、自治体に対する責任も強く問われています。

 今後もさらに色々なことが判明していくのだと思いますが、新年に、明るい夢と希望が待つはずの若者たちの命が一瞬で失われてしまったことを考えると、胸が痛いです。





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