事故が相次ぐ魔の通り
2012.07.12 up
事故現場となった交差点
先月12日未明、シンガポール中心部ロチョールロードで、タクシーとフェラーリの衝突事故が起きました。亡くなったタクシーの乗客は、日本人観光客の若い女性でした。
交通量の少なくない公道を、時速180キロで突っ込む赤いフェラーリ。事故の一部始終をとらえた映像が話題となりました。
フェラーリ599GTOは、車の税金が高いシンガポールでは一億円以上もする高級車です。運転していたのは、若くして富を得た31歳の中国人男性でした。この男性は即死、同席していた20代のガールフレンドは重症でした。男性の妻は事故当初、被害者のタクシー運転手が子ども3人を残して亡くなったことに対して謝罪せず、「夫の隣に乗っていた女は誰だ?」と記者につめよったことで、多くの反感をかいました。
この事故直後、現場では、死亡した日本人女性の所持品を盗難する事件まで起きていました。まさに憤りを感じる痛ましい事故でした。
この事故の2週間後、同じ場所で30歳の男性が運転するレクサスが、タクシーに衝突しています。見晴しが悪いことが指摘されましたが、高級車の運転手のマナーが総じて悪いとの声も上がりました。
国土の狭いシンガポールでは、車両数の制限を目的として、車を所持したい人はまず購入権を買わなくてはなりません。この購入権の価格は変動しますが、2012年7月現在は約9万Sドル(550万円)。車両本体の価格も日本の市場価格の約3倍と高額のため、国民の多くは公共交通機関を利用しています。高級車に乗る人間は優越感に浸っていてマナーが悪い、なんてささやかれるのもこの国ならではの事情ゆえかもしれません。
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