ブラジル

ブラジル:サンパウロ

日下野 良武(くさかの よしたけ)

◎職業;ジャーナリスト、ブラジル文化研究家
◎居住都市;サンパウロ市(ブラジル国)

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 サンパウロ州南部が80年ぶりの干ばつに見舞われている。人口1000万を抱える州都サンパウロ市の水道が一部給水制限に入った。例年通りの降雨がなかったのは昨年10月から今年2月までの雨期と、乾期の4月以降先月まで。


 サンパウロ市と衛星都市の水道水は3つの貯水湖から供給される。その1つのカンタレイラ湖の貯水率は13%にまで低下、底水を残すだけで大半が干し上がってしまった。テレビのニュース映像では湖底の地割れが見える。集中的に大量の雨が降らない限り、元の状態に戻れそうもない。外の2湖も40%ほどの減水だ。市民は洗濯、食器洗い、入浴後の水をバケツに溜めてトイレ用水として使い始めた。


貯水湖の1つで湖水が50%近く減少したビリングス湖(後方、11月1日撮影)とマリア・プラチニさん

貯水湖の1つで湖水が50%近く減少したビリングス湖(後方、11月1日撮影)とマリア・プラチニさん

 市から30キロの貯水湖の1つ、ビリングス湖へ視察に行った。昨年の満々と水を湛えた風景は見られなかった。
 湖に面するレストランの経営者ジョゼ・アマラルさん(59)は「この湖の水は衛星3都市へ給水する。水の半分近くが無くなり、湖面が岸から8メートルも下がった」という。
 湖畔で暮らすマリア・プラチニさん(58)は「30年住むが、こんなの初めて。市や州は何も対策を講じていない。人間が生きるのに水は不可欠。何とかしないと…」と、心配顔。


 サンパウロ州水道局(SABESP)の元専門技師ジョゼ・谷口さん(72)は「今月中にまとまった雨が降らなかったら、深刻な水不足は避けられない。降ったとしても来年の乾期をどう乗り切るか。州政府が長期の対策を講じないと大変なことになる」と、力を込めて話す。


 雨不足の打撃を直接受けるのは人間だけでない。農作物が枯れ、水力発電所は止まり、山火事などへも影響が広がる。住民は、生活用水の問題解決に州政府が一刻も早く真剣に取り組むよう望んでいる。


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