ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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ブラジル地理統計院(IBGE)が公開した「南を上」にしブラジルを中央に配置した「逆さまの世界地図」

ブラジル地理統計院(IBGE)が公開した「南を上」にしブラジルを中央に配置した「逆さまの世界地図」

 ブラジル地理統計院(IBGE)は5月7日、「南を上」にしブラジルを中央に配置した「逆さまの世界地図」を公開しました。これは、BRICSやメルコスール、COP30といった国際フォーラムにおけるブラジルの存在感を示す象徴として、マルシオ・ポシュマン院長が主導したものです。

 実はこのような地図は、ブラジルでは以前から学校や土産物店などで目にすることがあり、国民にとってなじみのあるものでした。しかし、今回は国家機関が公的に提示したことで注目され、議論を呼んでいます。一方、IBGEの労働者組合は、この発表を「現実の歪曲」として批判し、機関の中立性や国際的信頼を損なうと懸念を表明。象徴的な表現と、客観的データ提供という本来の役割とのバランスが問われています。


ヨーロッパ全体に匹敵するアンゴラとモザンビークを合わせた領土の広さ

ヨーロッパ全体に匹敵するアンゴラとモザンビークを合わせた領土の広さ

 ブラジルはかつてポルトガルの植民地であり、現在でも学校教育の中で、宗主国ポルトガルの視点から見たブラジルやアフリカ、アジアのポルトガル語圏に関する世界観を学ぶ機会があります。

 なかでも印象的なのは、ユーラシア大陸の西端にある小国ポルトガルが、「本当に小国と言えるのか?」と問いかけるような地図です。ポルトガル語諸国共同体(CPLP)には現在9カ国が加盟しており、その多くはアフリカに位置しています。中でもアンゴラとモザンビークは比較的大きな国土を持ち、2カ国を合わせるとヨーロッパ全体に匹敵する広さになるとも言われます。

 さらに、ブラジルを除いてもCPLPの領土はアメリカ合衆国に劣らない土地の豊かさがあり、ブラジルを含めれば、ポルトガル語圏の広がりは決して小さなものではありません。

 こうした視点は、大航海時代の先駆者としてのポルトガルの栄光が、今なお広大なポルトガル語圏に息づいていることを教室で伝える一つの切り口となっています。

 このように、国が変われば見える世界も変わる――ブラジルには、そうした実感を与えてくれるユニークな地図の見方が存在しています。


ブラジルを除くCPLPの領土の面積と比較されたアメリカ合衆国

ブラジルを除くCPLPの領土の面積と比較されたアメリカ合衆国




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