巣立つ前の大仕事2016 太陽の光が似合う卒業式 その4
2016.08.16 up
卒業生に向けて話をする黄贇瑾(ファン・ユンジン)校長
その後、在校生送辞と卒業生答辞、来賓の祝辞となり、黄贇瑾校長の卒業生に向けたお話になります。
以下、大雑把ですが、紹介いたします。
迷える一人の若者が、公園へ散歩に行きました。
ぶらっと歩いていると、一人の露天商が石を売っていました。気になった若者が「ねぇ、こんな石ころ、売れるの?」声をかけると、露天商の主人は「まあ、見てなさい」と一言。
若者は様子を見守ることにしました。
偶然その露店を訪れた客が主人に、「これ、いくら?」と聞いたところ、主人は右手の人差し指と中指を出し、”2”を作りました。
客は「2元?」と聞くと、主人は何も言わず首を横に振りました。
そこで、もう一度「じゃ、20元なの?」と聞くと、主人はまた首を振りますが、じれた客が「まぁ、いいや。じゃ、ここに20元、置いてくね、ありがとう!」と言って、石を持って行きました。
若者は「ねぇ、これでいいの?」と主人に尋ねると、「明日、市場へ行くから、もう一度訪ねてきなさい」と言い、その場を離れました。
卒業証書授与の様子
市場に行き、露天商のところを訪ねると、早速、客が来ていて、値段を聞いていました。「ねぇ、これいくら?」と尋ねると、露天商は前日同様、”2”を指で作って見せるだけでした。
客が、「ほぉ、20元なんだ」と口にすると、また前日同様首を横に振ります。客は「そうしたら、200元なのかい?」と聞くと、これまた前日同様再度首を振ると、「しょうがないねぇ、200元、置いてくからいいよね、じゃあね!」と言い、石を手に取り、その場を去りました。
若者は、また「ねぇ、これでいいの?」と聞くと、露天商は「いいから、いいから。明日、美術館の前へ行くから、もう一度訪ねてきなさい」と言い、その場を離れました。
最後の卒業歌の様子
美術館の前でもやりとりは同じ。
客が、「ねぇ、これいくら?」と尋ねると露天商はこれまで同様、”2”を指で作ってみせるだけでした。
客が、「へぇ、200元なんだ」と口にすると、これまたこれまで同様首を横に振ります。客が「じゃ、2,000元かな?」と聞いても、首を横に振るだけ。我慢しきれなくなった客が、「2,000元でいいね! これ、持ってくよ!」と言い放つと、石をわしづかみにして、持っていってしまいました。
若者は、「本当にこれでいいの?」と聞きますが、露天商は「いいの、いいの。明日は骨董品街へ行くよ」と言い、その場を離れました。
受験に向けての願掛け
骨董品街の、ある店の前で、露天商はまた石を売り始めました。
すると、すぐに身なりのいい客が露天商のところに現れ、値段を訪ねてきました。「こちらは2,000元ですか?」と丁寧に尋ねると、これまで同様首を横に振るだけでした。「では、20,000元?」と改めて尋ねると、また首を横に振るだけで、何も言いませんでした。見かねた客が、「そう、それでも20,000元は安いではないか、いい買い物ができたよ、ありがとう!」と言って、その場を離れました。
様子をずっと見守ってきた若者は、未だに何が何だか分からない感じでした。
露天商が若者に言いたかったのは、「自分で自分の価値を決めつけるな」ということでした。同じものでも、時と場所によってはその価値が変わるだけでなく、それを見る人も変わります。また、自分で価値を決めてしまっては、自分も知りえない可能性を閉ざしてしまうことになります。
黄校長も、同様に「自分で自分の価値を決めつけてはいけない」と、この話を通して卒業生たちに自分の気持ちを伝えました。
入り口前に用意されたカウンター
その後、自作の卒業歌と校歌を斉唱、実行委員会のあいさつを行い、卒業式は終わりました。
終了後、多くの卒業生は教室に戻りましたが、実行委員会のメンバーはステージ上での記念撮影、翌日に後片付けをして、最後を締めくくりました。
様子を見ていると、台湾の女子校の卒業式は、「笑顔」と「涙」がつきもののように感じました。
最後に
準備段階から私を受け入れてくださった台北市立景美女子高級中學の関係者と卒業式実行委員会の皆さま、我慢強く私の記事を配信してくださったima編集部の皆さま、気長に読んでくださった読者の皆さまには、この場を借りてお礼申し上げます。
本当にありがとうございました。
*参考
台北市立景美女子高級中學の卒業式実行委員会のfacebook
https://www.facebook.com/jmgsh52/?fref=ts
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