子供の未来のために 新入生の保護者対象の説明会
2016.10.07 up
説明会に集まった新入生の保護者たち
新入生のオリエンテーションが終わって3日後の8月27日。
台北市立中山女子高級中學で、9:00から11:40にかけて、新入生の保護者を対象とした説明会が行われました。
新学期を2日後に控えたこともあってか、集まった保護者(とその家族)の表情には緊張感が漂っていました。
最初は呉麗卿(ウー・リーチン)校長のお話から
最初に呉麗卿校長のあいさつがあり、学校の各部門の部門長の紹介を行い、お話に入って行きました。
内容は、主に子供との向かい合い方や接し方が中心になっていて、しっかり未来を見据え、過保護と過干渉にならないよう、注意深く見守ってほしいと強く訴えました。
その中でも印象に残っているのが、上の写真のとき。
過保護の代表的な例としてあげたのは、2つの大学で実際にあった話でした。
台湾大学では、新入生の入寮時、母親が大量に汗をかきながら荷物を運び込み、子供はスマートフォンをずっといじっているという事例。
政治大学では、教授に保護者が手紙で「うちの子が教授の授業を受けたいと強く希望しております。よろしかったら、うちの子の名前を書き加えていただけませんか」と問い合わせる事例と、電話をかけ、「海外の家族旅行に子供を連れて行きたいのですが、予約した飛行機の日が学期末の試験日と重なっております。そこで、うちの子だけ別の日に試験を行っていただけないでしょうか」と無理な要求をねじ込もうとする事例。
これらは、日本でもあるような気がするだけでなく、私の時代では考えられない事例ばかりで、びっくりましたが、皆さんはいかがでしょうか。
饒月琴(ラオ・ユエチン)PTAの説明
校長のお話の後は、学校の校務と運営に関する各部門の説明に入りました。
校長の後に登壇した饒月琴PTA会長からは、組織と業務の説明がありました。内容は、7月7日の新入生の一斉申し込み時と同じ内容でしたが、細分化された組織と、生徒をバックアップする細かい業務内容は、一般の企業並みでした。
学生事務部の説明
その後、教務部から取得単位や履修科目など学習状況の説明があり、学生事務部からは学校の行事や事務手続きなどの説明、総務部からは改修工事を行っている校舎の状況や夏季冷房使用時に発生する電力費の負担といった学校施設に関する説明がありました。
最後は教員による教育講座
最後は、進路指導室からの進路指導方針と活動に関する説明、教員の方による教育講座が行われました。
新入生のオリエンテーション時もそうですが、私が気になったのは、台北市立第一女子高級中學(以下、北一女)に進学できなかった子とその保護者に配慮した発言があったことです。第1志望に北一女、第2か第3志望に中山女高にしていた子が多くいるからだと見られますが(注:制度が複雑になっているので『必ず』ということではありませんが、学校ごとに入試を行わず、統一の学力考査の点数と平常点などをもとに志望校を10校程度書き込み、総合的評価の結果で進学先が決まります)、その配慮ぶりには驚かずにいられませんでした。
中山女高も、台湾一進学が難しいと言われる北一女同様、日本統治時代からの学校で伝統があり、蔡英文総統をはじめ優秀な卒業生を多数輩出しているだけでなく、学術面で高い評価を受けている教員も多く在籍している学校です。日本だったら「向こうは向こう、うちはうち」という感じで全く触れないと思いますが、台湾では、『ブランド力』が何者にも勝るようで、それを垣間見た気がしました。
5月のある報道で見ましたが、学力考査を約2週間後に控えた中学3年の女の子が、学習塾の帰りに母の日のカーネーションを買って自宅へ帰った際、母親から「私はそんなものいらない。北一女の合格が最高のプレゼントよ」と言われたそうです。
この例は極端ですが、学校の名前だけをありがたがり、子供が学校で3年間どのように過ごすかを保護者が全く考えていなかったら……
おそらく、先生たちは、そこまで考えてオリエンテーションや説明会の準備をしてきたのだと思います。
1年あまり学校を見てきて、いい学校だと思って見てきただけに寂しく、そして複雑な気持ちになりました。
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