ブラジル

ブラジル:サンパウロ

日下野 良武(くさかの よしたけ)

◎職業;ジャーナリスト、ブラジル文化研究家
◎居住都市;サンパウロ市(ブラジル国)

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サンパウロ国際空港ロビーで

サンパウロ国際空港ロビーで

 昨年12月、プーチン大統領が安倍首相との首脳会談に2時間も遅れて到着。かつて、ヨーロッパ主要各国元首も待たされたという。ふと、「遅刻」について考えてみた。


 ブラジル人も時間を守らない。式典などの10分遅れ開会は珍しくない。しかし、待つ方も待たせる方も気にせず、お互い許し合う文化がある。これだと双方に精神的負担は少ない。怒りと謝りの構図の日本とは異なる。サンパウロ市に定住35年。当初、この習慣体得に5年近くかかった。約束不履行に腹が立ち、最高血圧が150を超えたのはこの頃までだ。現在は遅刻文化の理解習熟で、110ほどの低めに落ち着いている。


 ある日、日系人の結婚式に呼ばれた。時間通り夜7時に着いたが、誰も来ていない。両家の親族が現れ始めたのは約15分後、招待客は30分後。その間、参会者は会話を楽しんでいる。文句を言う人は皆無に近い。神父さんも悠々と到着。会場は翌日未明まで貸し切りとは言え、全員が神前に集まったのは9時前。食事が済んで新郎の胴上げが終わり、お開きは翌日未明だった。


 遅れ増加の原因の一つに携帯電話の普及があろう。ブラジルの携帯保有数は総人口を上回る約2億6千万台で、低所得者層も持っている。空港ロビーや電車内、道路歩行中に指を動かす光景は日本と同じ。「すまん。遅れた。あと15分で着く」の一報で許される。近年、日本人も時間にだらしなくなったと聞く。
 筆者は携帯を持ち歩かない。煩わしいのだ。手元になくても時間厳守。雨が降ろうが日本酒が降ろうが、万難を排し約束場所に駆けつける。


 「プーチン大統領は優位に交渉を進めたい魂胆があり、わざと遅れる」が当地日系人の大半の見方だ。相互容認で気にしないブラジル人と、一方的にわがまま勝手な行動のプーチンさん。同じ遅刻でも意味は大きく違うようだ。


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タグ:サンパウロ

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