ブラジル

ブラジル:サンパウロ

日下野 良武(くさかの よしたけ)

◎職業;ジャーナリスト、ブラジル文化研究家
◎居住都市;サンパウロ市(ブラジル国)

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首都ブラジリアの国会議事堂

首都ブラジリアの国会議事堂

 10月7日に行われたブラジル全国統一選挙で、立候補の日系現職連邦下院議員と、サンパウロ州議員の現職・新人の大半が落選した。ブラジル政界と日系社会、また、日本との政治的連携でなくてはならない存在だった日系議員。日系社会の力は弱まりつつあるのだろうか。

 主要因は、日系人の立候補者乱立による票の奪い合いや、日系社会票が拡散し始めているのが影響しているようだ。


ブラジリア風景

ブラジリア風景

 サンパウロ州選出の下院選では、日系6人が立候補。日本語が堪能で経験豊富な現職のワゥテル飯星議員(日系2世)をはじめ4議員がそろって落選、代わりに新人のキム・カタギリ氏1人が当選した。同氏は日系社会団体との接触がない。隣州パラナ選出下院議員のルイス西森氏は再選を果たした。結果、日系下院議員は全国で2人となった。


 一方、サンパウロ州議員選挙では現職・新人9人の日系人が挑んだが、7人が落選、新人2人だけの当選結果となった。これまで常勝で世話役に徹してきたエリオ西本州議(日系3世)は好人物だっただけに、落選を惜しむ声が大きい。


 今回は大統領、連邦上・下院議員、州知事、州議員を選ぶ戦いだった。大統領選ではトップが過半数の票を獲得できなかったため、2次選にもつれ込んだ。右派と左派の激突で1位と2位の決選投票が10月28日に行われ、右派のボルソナロ候補が初当選を確実にした。

 今年は日本移民110周年。近年、日系社会は下院議員、州議、市議にそれぞれ常時3~5人を輩出してきた。しかし、日系人と非日系ブラジル人の結婚が加速度的に進み、日系3・4世のブラジル社会への同化は進む一方だ。


 今回の選挙結果で、日系社会が弱体化し、ブラジル社会への急浸透が推察できる。政治の世界で「日系候補」という捉え方が、無意味な時代を迎えているようだ。


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