ブラジル

ブラジル:サンパウロ

日下野 良武(くさかの よしたけ)

◎職業;ジャーナリスト、ブラジル文化研究家
◎居住都市;サンパウロ市(ブラジル国)

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サンパウロ市風景

サンパウロ市風景

 新型肺炎によるブラジルで初の死者が出たのは今年2月末。以来、5月17日までの全国感染者数は約25万人、死者1万7000人を突破する勢いだ。国内政情は、人命より経済優先政策を掲げるボウソナロ大統領と、外出自粛優先の各州知事との対立が今も続く。


 ブラジル連邦共和国は26州と1連邦直轄区からなる。州政府は数々の法令公布権限を持ち、知事が独自に出す場合もある。各州が独立しているようなもので、日本の県知事とは比較にならない力を持つ。


 九州と四国を合わせたほどの面積で、人口約4400万のサンパウロ州内はどうか。同州では感染者6万人、死者5000人を超えている。州令が出て、移動の場合は5月7日からマスク着用が義務付けられた。犠牲者は「ファベーラ」(貧民街)で顕著のようだ。
 人口が少ない割に感染拡大が著しいのは、アマゾン川流域の各都市。河口に近い人口150万人のベレン市に43年住み、汎アマゾニア日伯協会専務理事の堤剛太さん(72)は「協会は7月まで休館です。州内の感染者が3000人、死者は500人を突破。隣のアマゾナス州では感染者6000人、死者800人超とひどい。病院はすでにパンク状態」だそう。


 テレビのニュースで、感染者収容の病院から、防護服で身を包んだ医師、看護師、清掃員らが手を振りながら出てくるのを見た。それを拍手と笑顔で交代要員が迎える。会話はなくても「後は頼むぞ」「ご苦労さま」の心情が見て取れる。命懸けで取り組む医療従事者へ、ねぎらいの言葉を掛けたい思いだ。次の日、卒寿を過ぎた高齢男性が、医師らに見送られて無事退院。「戻れるとは思わなかった。ありがとう」と感謝の涙声だった。


 政府と各州は一致団結、人命優先の緊急対策を即刻実行してほしい。思いがけない災厄到来に、感染者や死亡者集計が気になる日々だ。


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