ねじれた台風休暇
2018.08.30 up
MRT淡水駅より *7月10日12:43撮影
7月10日、台風8号が台湾北部に接近してきました。この影響で16:00から出勤、通学が停止になりましたが、翌11日の対応をめぐり、自治体で対応が分かれる「ねじれ」現象が起きました。
遅くなりましたが、今回はその「ねじれ」について紹介します。
浸水を防ぐためなら…
大体2日前くらいから、天気予報で情報をつかんでいるので、台風が来るのは知っていて、その準備も整っているのですが(このサイトの写真をご参照ください)、一番肝心なのは、翌11日の仕事(学生は通学)があるかないかです。
特に人口が集中している台北市と台北市の通勤(通学)圏内にある新北市と基隆市の人たちにとって、経営者側の視点では利益に関わる問題ですが、労働者側の視点では「1日休めるか否か」が重要な問題となります。
ところが、翌11日の出勤、通学停止の判断を20:00に発表するはずが、22:00に順延となりました。
MRT淡水駅前のマクドナルドのガラスに注目
ただ待っていても仕方がないので、翌日の準備をしながら、発表を待っていたのですが、21:30ごろに驚くことがありました。
私が住む新北市が、台北市と基隆市よりも先行して、翌11日の出勤、通学の停止を発表しました。
すると台北市、基隆市、新北市は市民生活を考慮して歩調を合わせてきた過去の事例から、「台北市も基隆市も同調せざるをえないだろう」と考えていたのですが、22:00に「台北市、基隆市は通常通り」と発表。
ここに「ねじれ」現象が発生しました。
MRT淡水駅前の様子
この「ねじれ」現象、報道や周りの方の話を総括すると、こういう感じの解釈になるそうです。
1 新北市在住の方は、台北市および基隆市へ出勤可能な方はしてもいいけど、交通の影響などで出勤が困難な方は休日
2 台北市および基隆市から新北市へ出勤する方は休日
私の例でいくと、台北市に職場があるので、出勤しなければならないのですが、MRTが運休していて通勤できない場合は、それを理由にして「休める」ということになります。
台北市立建國高級中學で見た土のう *7月13日撮影
実際、11日未明から早朝にかけて風と雨が強く、その音がはっきり分かるくらいでした。また、外は4枚目の写真のような光景があちこちで見られましたが、始発時刻の6:00の時点でMRTが運休している様子はなく、通常通り運行していたので、私はそのまま出勤と相成りました。
したがって、台北市と基隆市の判断は「適切だった」と言えますが、そうするとますます気になるのが「なぜ、こんな『ねじれ』が起きたのか」ということです。
私は、当初「新北市は海に面しているところがあるから、それで大事を取って早く休みにしたのかな…」と思っていました。でも、そうすると、「港町の基隆市が足並みをそろえてもおかしくないところなのに、どうして…」となります。
そこで、いろいろなところで話を聞いてみましたが、こんな声が聞かれました。
「11月24日に控える統一地方選挙の選挙対策」
言い換えると、新北市がいち早く「休み」の判断を下したのは、朱立倫市長の所属政党である国民党への票集めではないか、ということです。
(注)基隆市の林右昌市長は民主進歩党、台北市の柯文哲市長は無所属
2016年1月の総統選挙と立法委員(国会議員に相当)の選挙で、過去に例を見ない負け方をした国民党にとって、今度の統一地方選挙は2年後の総統選挙と立法委員の選挙に向けての前哨戦になる大切な選挙に当たります。それ故、聞き捨てならない声が表に出てきてしまう現実も横たわっているようです。
どんな理由であれ、こうした「ねじれ」は大きな混乱を招くだけでなく、市民生活に影響を与えるのも事実。今後はしっかり「北北基(台北、新北、基隆)」が歩調を合わせて、混乱を招かないようにしてほしいところです。
レポーター「小川 聖市」の最近の記事
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