今年はゲームと共同開催 漫画博覧会2018 その5
2018.10.03 up
林珉萱(リン・ミンシュエン)さん
これまで、台湾人漫画家を2度紹介してきました。日本の牙城は果てしなく高い感じですが、台湾人漫画家も年々レベルが上がり、看過できないところまできているようです。
今回は、久しぶりに台湾人作家を紹介します。
サイン会は大盛況
上の写真の林珉萱さんは、中高の教員免許を持つ少女漫画家で、今は台北市内で以前紹介した陳漢玲さんらとともに漫画教室の講師も務めています。代表作は「雞排公主(筆者直訳:チキンカツのお姫様)」で、この作品で2009年度の國立編譯館の優良漫画賞の佳作、10年度の第1回台湾ゴールド漫画賞の最優秀漫画大賞、最優秀少女漫画賞を受賞しました。
現在は、「勇往直前灰姑娘(筆者直訳:真っすぐなシンデレラ)」で、身分を偽り、上流階級のお嬢様となった女子高生が繰り広げる逆転人生を描いた作品を月刊誌で連載しています。
ペンを走らせ、サインします
今回の漫画博覧会では、「勇往直前灰姑娘」の第6巻の発売を記念してサイン会を行いました。
少女漫画だけに、参加者は圧倒的に女性が多かったですが、過去の台湾人作家と違い、熱気に包まれました。
最後はこの笑顔
私が、漫画博覧会、台北國際アニメ・マンガフェスティバルをこちらで紹介するようになって、長い年月がたちましたが、変わらないものがあります。それは、日本の漫画家のレベルの高さ。漫画では完全に日本の後を追っている台湾では仕方がないことですが、その壁がなかなか超えられない状態にあるようです。
一人でも多くの台湾人漫画家を育て、台湾独自の漫画文化を構築しようと、出版社も努力していますが、台湾人漫画家の中でも格差があり、プロの漫画家として活動できる人が限られているのが現状です。
言い換えると、今回紹介した林珉萱さんのように担当の編集者がつき、サイン会を企画して多くのファンに来てもらえる台湾人漫画家は、本当に限られた人ということになります。
加えて、編集の方の話では、台湾の出版業界は、ジャンルに関係なく、紙の出版物がなかなか売れない状態にあるだけでなく、電子書籍でも厳しい状況が続いていて、台湾人漫画家にとってますます厳しい状況になっているそうです。
それを象徴していたのが、今回初めて共同で行ったeスポーツ産業展。漫画博覧会でありながら、これまでとは違う客層が多く訪れ、盛況だったのは、時代の変化というか、価値観の多様化を表しているように感じます。この現状は、出版業界、台湾人漫画家にとって良薬になるのか、はたまた毒薬になるのか。
来年の漫画博覧会も今年同様、ゲームとのコラボによる開催で、規模を広げて行いますが、そこで答えが少し見えてくるような気がします。
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