ブラジル

ブラジル:サンパウロ

日下野 良武(くさかの よしたけ)

◎職業;ジャーナリスト、ブラジル文化研究家
◎居住都市;サンパウロ市(ブラジル国)

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乾期には放水しない

乾期には放水しない

 2018年の年頭あいさつで、中西宏明経団連会長が「国民反対では、原発は造れない。国民的議論が必要」と述べたという。東日本大震災以来、日本国民は全再稼働に神経をとがらせている。では、ブラジルの原発事情はどうなのか。


世界第2位の規模のイタイプ発電所のほぼ全景

世界第2位の規模のイタイプ発電所のほぼ全景

 ブラジルの発電は水力が約70%、火力18%、バイオマスや風力9%、原子力3%。原発はリオとサントス間のややリオ寄りの海岸アングラ・ドス・レイスにある。1~3号機があり、米国、ドイツ、ブラジルの技術でそれぞれ運転中だ。これに対し、日本では16カ所37機が運用中という。
 加えて、近年、ブラジル沖で海底油田が発見された上に、エタノール(サトウキビ原料)も十分あり、地震や台風は無いに等しく、ブラジル大西洋岸近海の大津波発生は過去の歴史に記録がない。自然災害による原発事故の心配は、まずない国である。


観光客もダム見学ができる

観光客もダム見学ができる

 大河川が多く水資源に恵まれるブラジルは、水力が大半を占める。世界第2位の規模を誇る、ブラジル・パラグアイ両国共同で建設されたイタイプ発電所は、高さ約200?、長さ1400?、貯水量は290億トン、最大出力は1260万?。世界的観光名所イグアスー瀑布の近くにある。


 原子力といえば核、核といえば兵器を連想するが、1962年のキューバ危機後、ブラジルを含む中南米諸国は相互に核兵器を保有しない条約を結んでいる。これを「トラテロルコ条約」という。同条約は核兵器の実験、使用、製造、生産、取得、貯蔵、配備などを禁止し、非核化を目的とする。02年10月にキューバも批准し、33カ国すべてが加盟した。中南米諸国は治安悪化のイメージで有名だが、核戦争の心配はない。


 ブラジルでの原発増設のニュースは今のところ聞かない。電力自給率が現在90%を超えており、ブラジルの電力は原発に依存せず、水力・火力で十分賄えるようだ。


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