メキシコ

メキシコ:グアダラハラ

龍崎 節子(りゅうざき せつこ)

職業…民芸品輸出、撮影コーディネート、通訳翻訳
居住都市…グアダラハラ(メキシコ・ハリスコ州)

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 前回、「菓子パン2」でお伝えした、メキシコの数少ない惣菜パン、パステ。
 首都メキシコシティの北側に位置するイダルゴ州には数多くの鉱山があり、その中でも特に有名なのが「ミネラル デ モンテ(レアル デ モンテ)」と呼ばれる都市です。
 スペイン統治の遥か以前より、この地では金、銀、銅、すず、ターコイズなどが盛んに採掘されており、19世紀の産業革命後にイギリスのコーンウォールより多数のイギリス人鉱夫たちがチャンスを求めてやってきました。
 その彼らがメキシコに持ち込んだのが、サッカーとこの惣菜パンのパステ。


縁をくるっと巻いた伝統の形

縁をくるっと巻いた伝統の形

 このパステ、伝統的には「牛コマとジャガイモ」が中に入ります。塩コショウと少しのパセリで味付けされたこの具材、シンプルながら飽きが来ずにエネルギーが湧いてくる美味しさです。
 これは当時、イギリス人鉱夫たちが昼食にしていた名残で、蒸し暑い坑道の中でも温かさを残したまま美味しく食べられるように、とのことから。しかも汚れた手でも縁をつまんで食べられ、そのまま捨てられるように縁をねじって包まれています。

 今では様々な具材と形で「イダルゴの味」として売られていますが、中には伝統的な形を中身で勝負しているお店もあるとのこと。現在すでにその鉱脈の多くが枯渇してしまい、職を失った鉱夫とその家族は近隣の州に移住して行ってしまいましたが、その先々で「なつかしのイダルゴの味」を求めているとか。チェーン展開しているパステのお店では22種類の具材を用意しており、ファストフードの一種として受け入れられているようです。


左から、カスタードクリーム、ペパロニ、伝統の味じゃがいもと牛肉

左から、カスタードクリーム、ペパロニ、伝統の味じゃがいもと牛肉

 メキシコの中に残るイギリスの文化に、まさかという意外性を感じますね。




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