ブラジル

ブラジル:サンパウロ

日下野 良武(くさかの よしたけ)

◎職業;ジャーナリスト、ブラジル文化研究家
◎居住都市;サンパウロ市(ブラジル国)

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今年、南米各国の教師をサンパウロ市に集めて開かれた合同研修会

今年、南米各国の教師をサンパウロ市に集めて開かれた合同研修会

 筆者が理事長を務める「ブラジル日本語センター」(サンパウロ市)は、日本語教師の養成・育成を軸に日本語学校や学習生徒を支援する非営利団体だ。新型コロナウイルスの感染拡大で今年のイベントはすべて中止や延期になり、運営面に多大の影響が出始めた。


昨年、ブラジル全国の日本語教師を集めて開かれたサンパウロ市での研修会

昨年、ブラジル全国の日本語教師を集めて開かれたサンパウロ市での研修会

 同センターは35年前に在ブラジルの日本語教師を中心に設立され、南米諸国での日本語教育の中核を成す。理事は全員、無報酬だ。毎年の恒例行事は、国際協力機構(JICA)の助成で教師養成講座や全伯教師研修・汎米日本語教師合同研修を実施するほか、国際交流基金の日本語能力試験代行も担当する。
 また、学習生徒を偶数年の7月に1カ月派遣する「ふれあい日本の旅」、1月に学校間の生徒相互交流を深める3泊4日の「ふれあいセミナー」も毎年独自に実施している。これらの企画への支援がないため、すべて自費参加だ。


 現在の全日本語学校数は約350校、教師1200人、学習生徒数は2万2000人で、10年ほど前から漸減傾向を示す。しかし、移民先人が粒々辛苦の中で築いた日本語教育・文化を消滅させるのは、日本だけでなくブラジルにとっても大きな損失だ。


 近年、日本語教師や学習生徒に非日系が目立つ。サントス市にある学校の場合は生徒約120人の80%を占める。当センターに日本語を話す22歳の黒人系女性職員がいる。あいさつは日本式で、日本へ行くのが夢という。非日系でも寛容、謙虚、礼儀正しさ、思いやりなどの文化に関心を持つ人は多い。こんな若者を大事にすべきだ。


 日系人は全人口の1%と少数ながら、教育程度が高く国民の信頼は厚い。過去、日本移民の子孫から3人の大臣が誕生している。職業は医師、弁護士、公務員などに顕著だが、心の奥に日本文化があるからだろう。今一度、先駆者の奉仕精神に思いをはせ、資金不足に陥っても日本語教育存続への努力をしたい。


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