ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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壁にネジを差し込む時に必要な筒とセットで売られているネジ

壁にネジを差し込む時に必要な筒とセットで売られているネジ

 サンパウロの家屋で、簡単な棚を壁に取り付けるのに、支柱の穴にネジや釘を打ち込んでしまえばカチッと備え付けられるという保障はありません。それどころか、釘を打つだけでは、棚に荷物をのせると、やがて釘がスルリと抜け落ちてしまう恐れがある壁の造りになっています。
 プロの仕事を見ていると、例えば簡単な棚を壁に取り付ける場合、支柱の穴にネジを回して固定します。その前に、まず壁にネジを差し込むための穴を、フラドール(2枚目の写真)と呼ばれる専用の機械で開けます。そして、ネジを回す前に、壁の穴にネジを確実に固定する筒状の容器を壁の穴に埋め込みます。筒状の容器を差し込んだら、その容器にネジを回し込みます。(1枚目の写真参照)


壁に穴を開ける、ポルトガル語でフラドールと呼ばれる専用の機械

壁に穴を開ける、ポルトガル語でフラドールと呼ばれる専用の機械

 上述のような下作業をせず、ただ壁や、開けた壁の穴に直接釘やネジを差し込むだけでは、荷物を載せた後、ネジの周囲がモロモロと崩れ始め、ネジはスルリとぬけてしまう恐れがあります。
 サンパウロの一般的な建築物の工事を観察していると、基礎工事の後、柱と柱の間にレンガを積み、レンガの上をセメントのような土壁で覆い、その上を塗料や装飾タイルでコーティングしているのをうかがい知ることができます。レンガは空洞のあるタイプも多いです。(3枚目の写真参照)
 そのため、一見頑丈に見えるきれいにコーティングされた壁の後ろは、セメントや土壁とレンガが続きます。機械で穴を開けると、最初は土ぼこりが出てきますが、最後にはレンガの空洞に入ってスポンとぬけるように穴が開きます。この穴にネジを差し込んでも、土壁は容易に変形する可能性があり、先端も空洞で、ネジを固定するには不十分であるのは素人でも実感します。
 日本の家屋では壁に直接ネジや釘を打ち込むだけで、簡易な棚くらいは確実に固定できた気がするのですが、建築の構造が違うと、やはり末端の作業まで変わってきます。
 二手間かかる気がするのですが、ブラジルでは棚を取り付ける時、穴を開けて、固定用の筒を差し込み、それからネジや釘を打ち込むという作業が基本になっています。


壁になる積み上げられたレンガは空洞のあるタイプが多い

壁になる積み上げられたレンガは空洞のあるタイプが多い




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