ブラジルはよく法律が変わるという言葉を耳にします。
商売をしているわけでもなく、普通に家庭にいるだけではあまり実感のわかないことだと思っていたのですが、医療や教育の問題はどのような市民にもやはり身近な事柄です。
最近初めて「こんなにコロッと法律変えちゃうの?」と思うような話を身を持って実感しました。
サンパウロ市内にある市立幼稚園の一つの施設
サンパウロの市立幼稚園は、去年と今年は満5歳から入園できるということになったそうです。いつからかは分かりませんが、おと年までは満4歳から入園でき、満6歳までの三年間、通うことができました。
数年前に、日本の小学校に相当する初等学校の入学年齢が一年早まり、日本の中学校に当たるまでのいわゆる基礎教育期間が一年伸びたということも、市立幼稚園の入園年齢の変化に少なからず影響を及ぼしたのではないかとも思われます。
それでも、公立の初等学校に入学する年齢も、全ての子供が一年早めて一律に一年生に上がったわけではなく、子供によっては、結局一年生は幼稚園の施設で過ごし、いきなり二年生に上がるというような、同じ町でも決して統一して法律にそった施策が行われたわけではありませんでした。
公立幼稚園の入園年齢が去年と今年は突然満5歳からしか入園できなくなったということでしたが、最近、幼稚園の事務員の方に尋ねると、来年からは再び満4歳から入園できるように法律が変えられたということでした。
法律が満5歳からの入園に変わったことで、市民からのクレームが多かったことや、公立保育園と公立幼稚園では就園時間やカリキュラムも違うということがあり、代替機関にならないということで、結局もとに戻すことになったという話でした。
幼稚園や保育園は通わなくてもいいといえばよさそうな気もしますが、やはり現代社会においては、子供を取り巻く環境も変化しているため、やはり重要な社会施設です。サンパウロ市には私立の幼稚園や保育園も多くあり、比較的柔軟に対応してくれる印象が多いですが、園によっては、一般市民には大変高いような園も少なくありません。やはり税金で運営してもらえる公立の幼稚園や保育所の存在は市民にとって大きな支えになっています。
その重要な社会機関に関する法律が、一年、二年でコロコロと変わるのは、やはり親子にとっては「当たるも八卦、当たらぬも八卦、運次第」の世界にさらされているような気がしてきます。
教育だけでなく、身近でいえば外国人の自動車免許の習得の仕方(以前は簡単に海外の運転免許から切り替えできたたものが、数年前に手続きが複雑になりブラジルでゼロから運転免許を習得するという日本人の話を聞きます)や、大きなお金が動く世界でも、ブラジルでは法律が突然「えっ!」と思うような変わり方をするのは当たり前のように聞く話です。
幼稚園の就園年齢くらいの変化なら命に関わるようなこともありませんが、会社の責任者などに直接関係するような重要な法律が変化するのは、気が休まる暇も無く神経が磨り減ってしまいそうです。
とはいっても、ブラジルに生きる人々もそのような人の作った決まり事の変化にはいたって冷静で、慌てふためいたりする姿はほとんど見かけません。一言文句は言っても、「まあ結局は仕方ない」というか、神様の思し召しということで腹を収めるように見える人が多いように見えます。そしてたいていとりあえず何とかなってしまう(時間を要することもある)のも不思議なところです。
政府のあり方があり方なら、それに準じた市民の行動パターンというか心の持ち方が形成されるものかもしれず、全体としては、もしかしてバランスが取れているといえるのかもしれません。
サンパウロの市立幼稚園の一つ
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