ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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清掃作業の仕事の合間に聖書を読むブラジルの女性

清掃作業の仕事の合間に聖書を読むブラジルの女性

 サンパウロを歩いていると、すれ違いざまのブラジル人が辞書のような分厚い本を熱心に読んでいることがあります。よく見てみると、その本は聖書です。
 聖書を読んでいるのは仕事の合間のような雰囲気のことが多く、日曜日には教会へ向かう人が聖書を片手に歩いている光景が珍しくありません。


商店の店主が愛読している聖書

商店の店主が愛読している聖書

 一般的にブラジル人はあまり本を読まないと評されることがあります。確かにたくさんの本は読んでいないかも知れませんが、最も多くの人が読んでいる、読んだことがあると思われるのは聖書です。読んでいないとしても、ブラジル人の多くの家庭では一家に一冊、聖書が置いてあるのが一般的です。

 キリスト教の中でもブラジルはカトリックの影響が色濃く残る中、近年は都市部などでプロテスタントに改宗する人も少なくありません。聖書を熱心に読むのはどちらかといえばプロテスタントの信者さんです。


仕事の合間に聖書を読む商店の店主

仕事の合間に聖書を読む商店の店主

 ある時、公園の清掃作業員の女性が聖書を読んでいました。プロテスタントの信者ということで、いつも仕事の合間に聖書を読んでいるとのことでした。有名な聖句について尋ねると、とても詳しく語ってくれ、神様やイエス・キリストのお話を展開してくれました。

 近所の小さな商店の店主さんは、レジ打ちの合間に聖書を読んでいることがあります。一年をかけて一冊を読む計画を立てているということで、「心の栄養」と語り、毎日聖書を読まれると言います。やはり神様やイエス・キリストについて語ってくれます。
 日本の明治時代を代表する渋沢栄一が著したのが『論語とソロバン』なら、この店主さんはさながら『聖書と電卓』といった様相です。

 神様やイエス・キリストを語るといっても、どの人も自分の所属している宗教団体に勧誘することはなく、自らの信じるものを語ってくれます。

 ブラジルは大国で資源豊か、BRICsとうたわれ安心の国かと問われると、明日のことは誰も分からないというような空気が日常的にあります。人間には本当は誰でも100パーセント約束された人生は無いはずです。だからこそ、人生や生きるということの指針が求められ、ブラジルには西洋式の人間教育ともいえる聖書の教えを大切にする人が多いのかもしれません。


お気に入りの聖書を手にするブラジルの女性

お気に入りの聖書を手にするブラジルの女性



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2 - Comments

asukaより:

2012 年 05 月 03 日 15:06:16

ポーランド人に通じるものがあるなと思いました。うちのおばあちゃんもいつも必ず小さな聖書を持っていて、時間があるときに読んでいます。ポーランドにはカトリック教会のテレビ局やラジオ局がありますが、ブラジルでも似たようなものがあるんだろうか?

ともこより:

2012 年 05 月 04 日 01:22:20

>asukaさん
 う?ん、宗教と国民性は通ずるものがあると思います。で、ポーランド人と日本人、ブラジル人と日本人って相性がいい気がします。聖書を読む人の姿って素敵だなあっと思います。人間の本質を見つめるとでも言うのかなあ・・・おばあちゃんもきっと素敵なお姿なんでしょうね。
 カトリックに限らず、ものすごいたくさんの宗教チャンネルがあり、有名歌手が出ていたり、神父さんまで歌って踊っている姿は驚きです!!レポートしたくても仕切れない圧倒感です・・・

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