台湾

台湾:台北

小川 聖市(オガワ セイイチ)

職業…日本語教師、ライター

居住都市…台北市近郊の新北市(台湾)

前の月へ

2025.11

次の月へ
S M T W T F S
      1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30       

出口を封鎖を告知するお知らせ

出口を封鎖を告知するお知らせ

 日本でも紹介されましたが、1月14日の総統選挙で2期目の当選を果たした現職の馬英九(マー・インジョウ)総統と呉敦義(ウー・ドゥンイー)副総統の就任式が、5月20日総統府で行なわれました。

 これまでは、大々的に就任をアピールする形で行なわれてきましたが、今回は予算を節約して行なうことを公言。総統府内で就任式を行ない、大変質素なものとなりました。

 就任式で祝福の様子を紹介……としたいところですが、残念ながらそうはいきませんでした。

 1月14日の選挙終了後、4月に電気やガソリンなどの値上げが発表されました。また、これに合わせるかのように、乳製品や他のものも値上げも始まりました。それだけでなく、国民党系の地方自治体の首長が行なった施政でも市民の不信感を募らせる事態が重ねて起こり、馬英九総統に批判が集中しました。

 そうした批判の声を野党の民進党が汲みとり、就任式前日の5月19日に台北市内の3ヶ所で約10万人が参加するデモ行進が行なわれました。


封鎖されたMRT台大醫院(タイダーイーユエン)駅の1番出口

封鎖されたMRT台大醫院(タイダーイーユエン)駅の1番出口

 その動きに合わせ、就任式前日から総統府に近いMRTの駅の一部出口とその周辺の道路を封鎖。警備が異常なまでに厳重になっていました。私が2004年の総統就任式で総統府周辺に行ったときは、ここまで厳重に警備されていることはなく、もっと気軽に行けて、祝福モードも漂っていました。


バリケードが設置されたため、立ち往生している救急車

バリケードが設置されたため、立ち往生している救急車

 それが、今回は、警備が厳重すぎて上の写真のようにすぐ目の前にある台湾大学病院に行こうとした救急車が立ち往生するまでに。この救急車は、警官の指示で迂回を余儀なくされました。


5月20日当日の総統府前

5月20日当日の総統府前

 そして迎えた5月20日当日の朝。

 警備の範囲が狭まり、上の写真のところまで近づけるようになりました。しかし、異様なまでに静まり返り、バリケードでガチガチに固められたこの光景を見ると、祝福モードも吹っ飛ばずにいられない、という感じでした。


台北駅前広場とその前にある忠孝西路(ジョンシャオシールー)で行なわれた反馬英九デモ

台北駅前広場とその前にある忠孝西路(ジョンシャオシールー)で行なわれた反馬英九デモ

 吹っ飛んだ祝福モードの代わりに、19~20日にかけて行なわれ、就任式以上に盛り上がったのは、野党・民進党が呼びかけた反馬英九デモ活動。19日は台北市内3カ所でのデモ行進の他、夜は総統選挙で対立候補だった蔡英文(ツァイ・インウェン)氏らの演説集会も行なわれました。

 20日朝は、上の写真のように台北駅前広場で行なわれた抗議デモで盛り上がり、抗議の人が台北市内で幹線道路の一つである忠孝西路まで広がりました。この日の道路占拠は未申請で違法のため、機動隊が排除のために動員されましたが、混乱は1日中続き、市民生活に影響を及ぼしました。


 総統府周辺を厳重警備で固め、周辺住民や商売をしている人たちの日常に影響を与えた馬英九政権。デモ活動をあおり、休日の台北市内の交通に影響を与えた民進党陣営。どちらにも共通しているのは、”あまり他人の迷惑を顧みていない”ということ。

 こうした両陣営の様子や与党の政権運営を眺めている圧倒的多数の庶民の反応は、日本同様の「誰がやっても同じ。何も変わらない」、「どっちもどっち」という冷めた感じに変わってきています。

 日本と同様の政治離れが加速しそうな、今の台湾政治を映し出しているのが、今回の就任式ではないかと思い、その様子を眺めていました。


レポーター「小川 聖市」の最近の記事

「台湾」の他の記事

  • 705 ビュー
  • 0 コメント

0 - Comments

Add your comments

サイト内検索

Name(required)

Mail(will not be published)

Website

Archives