台湾の高校生が迎えた冬休み 台北市立第一女子高級中學 編
2014.02.26 up
学校の中にある蒋介石の胸像、首飾りはクリスマスの名残です
台湾の高校では1月20日に終業式を迎え、2月11日まで冬休みになりました。この期間は、3年生にとっては大学受験の大切な準備期間ですが、1・2年生はどんな冬休みを過ごしているのでしょうか。
毎日学習塾や予備校で勉強? たくさんある学校の宿題?
それとも……
そこが気になった私は、いろいろ調べましたが、高校生向けのさまざまな活動やイベントがあちこちで行われ、そこに参加している高校生が多くいることが分かりました。
そこで、今回から一部だけですが、そうした活動の様子を紹介したいと思います。
研修中の様子
今回は、台北市立第一女子高級中學(以下通称の北一女・ベイイーニュィ、英語はTaipei First Girl High School)の緑衣使節(リュィイーシージエ、英語ではTFG ambassador)の1年生を対象にした研修です。
緑衣使節とは、学校に訪れる海外からの来賓を接待する専門の係で、近年増えつつある国際交流に対応するため、2012年から設けられたものです。その前は、成績優秀な生徒が集まる「選抜クラス」が担当していたそうですが、対応に限界があり、接待における質も確保する必要にも迫られ、専門の係を設けるに至りました。
以前、こちらで日本の高校生たちとの国際交流の様子を紹介させていただきましたが、そのときに接待を担当したのが緑衣使節のメンバー。生徒の個人的事情などで来賓の訪問時に欠員にならないよう、メンバーは2年生30人くらいで構成されています。
(参考)
*緑衣使節のHP
http://www.tfgsa.com/
*緑衣使節のfacebook
https://www.facebook.com/101TFGSA
卒業生で現総統府副報道官の馬瑋國(マー・ウェイグオ)氏の講演に耳を傾ける1年生たち
研修は、冬休み初日の1月20・21日の2日間にわたって行われ、現役の緑衣使節が6月の学年末で任期満了になるので、新年度(こちらは9月)から緑衣使節として活動する1年生が対象です。今回の研修では55人が参加しました。
20日は、上の写真のように卒業生で現総統府副報道官の馬瑋國氏の国際経験に関する講演、歴史の先生による学校史紹介、地理の先生による校内の施設見学、礼儀作法の訓練、21日は国語の先生によるスピーチに関する指導と発声練習、現役の緑衣使節による学校紹介のお手本スピーチが行われました
研修後は、参加者を3人に分け、学校紹介の模擬スピーチ、模擬の学校案内、英語、日本語(できる生徒のみ、学校の第2外国語で履修可能)の能力などのセレクションを行い、研修時の受講状況(例:遅刻の有無や適正など)などを踏まえ、3月に約30人の合格者を発表します。
最後に学校紹介のお手本を見せる現役の緑衣使節(黒のブレザーを着用)
2日間様子を見ていて、感慨深かったのは、現役の緑衣使節の顔つきが変わり、少し大人に見えたことです。昨年10月に沖縄の高校生が来たとき(以前の書き込み参照)は、幼さが抜け切っておらず、どこか頼りない感じでしたが、半年の濃密な経験が生きているのか、研修では1年生を前に頼れる姉の顔を見せていました。
2日間とも8:20の集合時間で、参加した1年生は眠い目をこすりながらでしたが、そこで学んだものを今後の人生に生かしてもらえればという、先生の親心と先輩の愛情が伝わる研修でした。
学校の中にある石碑
(番外編)
北一女で見つけた日本人が知らない(と私は思っている)日本
この研修では、日本統治時代の「台湾総督府国語学校第三附属高等女学校」からの写真をたくさん見せていただきました。
ちょうちんブルマーに体操服、セーラー服姿の女生徒だけでなく、戦火が激しくなってきた頃の射撃訓練などの写真があり、日本の歴史の教科書にはほとんど掲載されていないであろう写真を見ることができ、私自身、日本統治時代の台湾を知るいい機会になりました。
研修で見た北一女110年の歴史で、imaの読者の皆さんに紹介させていただきたいのは、この石碑。
学校創立30周年の1934年、浮田辰平校長が当時の校訓である「正しく、強く、淑かに(しとやかに)」を石に刻んで残したものです。当時は校舎の入口近くに置かれ、生徒たちはその石碑に礼をして校舎に入っていったそうです。
その後、1945年にアメリカ軍による総統府を標的にした空襲で、その近くにある学校も被害を受け、当時の伊藤仙蔵校長が殉職しただけでなく、この石碑もいつの間にか行方不明になりました。
それから40年余りの月日が経ち、日本へ帰ったかつての卒業生が過去の情報をもとに何度も校内を探しまわった結果、現在石碑が置かれているところの近くに埋められているのを発見。上の写真のように戻され、現在に至っています。
国際交流などで北一女を訪問される方は、この石碑を見ていただき、かつての日本に思いを寄せていただければ、と思います。
レポーター「小川 聖市」の最近の記事
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