ステレオタイプなブラジルのイメージによって、6月から開催されるＷ杯ブラジル大会に向け、ブラジルではさぞや熱気に包まれているのだろう、と国外では思われがちなような気がします。実際には、サンパウロの一般庶民の間ではあまり盛り上がっていない、という現状があります。

　ここ数年の間、上昇し続ける食料品や住居費の価格、公共交通料金の値上がり、それに伴うデモなど、庶民の関心事はＷ杯に向いていられないというのは紛れもない事実です。

　そうはいっても、街中では、日増しにＷ杯に向けてのさまざまな応援グッズや装飾品の販売が増えていっているのも事実です。

　そんな中、4月に入って、街中の雑誌販売スタンドで目につき始めたのが、Ｗ杯のときに販売されることでおなじみの『自分で完成させる各国代表選手アルバム』です。

　『自分で完成させる各国代表選手アルバム』は、ブラジルに限らず、世界各国で販売されているかと思います。

　それでも、ブラジルでは特に少年たちによく売れるようで、Ｗ杯になると、まちの至る所にある雑誌販売所などでもたくさん売られているのを見かけます。

　本には、Ｗ杯出場国のページごとに選手の顔写真シールを貼れる枠が描かれています。

　顔写真のシールは別途販売で、５枚一組が1レアル（約47円）で購入できます。顔写真シールには番号や国旗、選手名などが付いており、枠の番号とシールの番号が一致するように貼っていきます。

　５枚一組のシールは、雑誌販売スタジオで購入する場合は中身が分からず、どの選手の顔写真が入っているかは分かりません。そのため、中身が同じものを再度購入する可能性もあります。

　そういうときは学校で友達と交換するなどして、少しずつ空欄の枠を埋めていきます。より多くのシールを集めて、全部の選手のシールを貼り終えた少年は、自慢の種になるようです。

　顔写真の他にも、スタジアムの写真などを貼る枠があり、全てのシールを集めるのはかなり手間暇かかります。インターネットや郵便でも注文して購入できるようですが、根気のいる作業です。

　『自分で完成させる各国代表選手アルバム』は、スタジアムで応援できなくても、少年たちがＷ杯を楽しむ方法のようです。

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