ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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サンパウロ市のメトロ・アナ・ローザ駅構内に置かれた本の自動販売機

サンパウロ市のメトロ・アナ・ローザ駅構内に置かれた本の自動販売機

 サンパウロ市内のメトロの構内には、数年前から本の自動販売機が置かれている駅があります。

 ひっそりとたたずんでいる本の自動販売機は、よく見るとブラジルらしい、押しの強い売り文句が記されています。

 自動販売機の上部に大きな文字で書かれているのは、「価値があると思うだけお金を払いなさい」と言う直訳が当てはまる言葉です。消費者の判断にゆだねているものの、自信に満ちた自動販売機です。

 そんな自動販売機には、平均すると3分から5分に一人、通りすがりの人がのぞいています。


上部の大きな文字は「あなたが価値あると思うだけお金を払いなさい」、一番下の黄色い帯の中に「お釣りは出ない」と警告表示がある

上部の大きな文字は「あなたが価値あると思うだけお金を払いなさい」、一番下の黄色い帯の中に「お釣りは出ない」と警告表示がある

 お金を入れようとして、ポルトガル語が分かる人であれば、よく見ると「お釣りは出ません」とはっきり赤字で書いていることにも気づきます。目立つ場所に記されているものの、気づきにくい表示の仕方で、注意が必要です。(ブラジルに慣れていれば、事前にそういうことは十分あり得ることにすぐに気付きます)。

 ブラジルで自動販売機を蹴っている人を見かけたことがありますが、壊れていることの有無に関わらず、お釣りが出ないことに起因している可能性は高いです。

 自動販売機にもよりますが、本は全て一冊2レアル(約90円)で、時々見かける自動販売機の炭酸飲料水よりも安い価格です。英語の辞書から自己啓発本、小説、子どもの絵本まで、様々なジャンルの本が15種類ほど販売されています。


ベルトコンベアーのような器具に並べられた状態の本。全て一冊2レアル

ベルトコンベアーのような器具に並べられた状態の本。全て一冊2レアル

 お金を入れて表示された本の番号を押すと、本が下のボックスに「落ちて」取り出すことができます。

 本は陳列したベルトコンベアーのような器具が奥から前に出てきて、「ボトッ」と落とされる仕組みです。ビニールカバーで包んでいますが、本が傷付きそうで心配になります。

 あえて比較すると、日本ならもっと丁寧な扱いで本が取り出し口まで運ばれることが予想されます。自動販売機に「お金を払え」という表示はしないだろうし、せいぜい「お好きな本をお選びください」と記す気がしてカルチャーショック、ブラジルらしさを感じます。

 のぞく人が多い本の自動販売機も、買う人は一時間に一人いるかいないか、という雰囲気です。

 65歳以上はメトロ代(片道3レアル)が無料なので、「案外、浮いたお金でメトロ代よりも安い本をとっさに買ってしまうかも」なんていう意見も聞こえてきます。


サンパウロ市のメトロ・アナ・ローザ駅構内に置かれた本の自動販売機

サンパウロ市のメトロ・アナ・ローザ駅構内に置かれた本の自動販売機


サンパウロ市のメトロ・アナ・ローザ駅構内に置かれた本の自動販売機

サンパウロ市のメトロ・アナ・ローザ駅構内に置かれた本の自動販売機


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