インディオ(先住民)から見れば、ニッポン族!?
2015.04.04 up
伝統的なボディー装飾をしたブラジルのクイクロ族
人間は誰しも自分が中心、自分に関わる民族を中心に物事を見がちです。特に先進国と称される日本は、世界でもパスポートの信用度が高く、全世界が日本を知っていると思いがちではないでしょうか?
そんな思いをハッとさせられる世界がまだまだ地球上には眠っていそうです。
ブラジルのグアラニ族の女性たち。右の女性のペンダントはグアラニのシンボル模様。
ブラジルは公用語はポルトガル語というのは周知の通りです。その他に約180のインディオ(先住民)の言語をはじめとする言語が日常会話として使用されていると公表されています。
大都市でも田舎に行っても、世界各国からブラジルに渡った移民の子孫が、片言の祖父母や曾祖父母の国の言葉を話しているということに遭遇することは珍しくありませんが、インディオがインディオの言葉を日常生活に使用し続けている事実を目の当たりにすることはほとんどありません。なぜなら、インディオは小中規模の集落で町はずれの自然の多い土地で生活しているからです。
ブラジルで4月19日はインディオの日ということで、毎年4月ごろにはサンパウロ近郊のあちこちで、ブラジルの様々な部族のインディオ文化を紹介するイベントが催されています。各インディオの文化に接することのできる数少ない機会です。
ブラジルのクイクロ族の女性たち
先日訪れたブラジルの先住民保護区であるシングー公園のインディオの文化を紹介する場で、クイクロ族の方と話す機会がありました。
以前、訪れた事のあるサンパウロ市内のグアラニ族の集落と同様、皆、ポルトガル語はある程度理解できますが、ブラジルに移住した日本人が数年ブラジルに暮らせば話せる程度のポルトガル語力と大差がありません。皆、日本人にどこか近い顔立ちと言い、まくしたてることなくゆっくりと話されるポルトガル語と言い、思わずホッとさせられます。
そんなクイクロ族の方に「私は日本人です」と話しても、あまりピンとこないようでした。
インディオの共通認識として、「ジュルア(外部の人、部族外の人の意)」ということがあります。ブラジルはブラジルで生まれれば皆ブラジル人で、先住民も日本人の子どももブラジル人になれます。それでも、先住民の伝統を守り続けるインディオは、彼らの日常言語は今も彼らの言語で、ブラジルにいてもポルトガル語は第二言語以下です。
サンパウロ市内のグアラニ族はトゥピー語、クイクロ族はクイクロ語、カラパロ語、 ナフクア語、マティプ語を仲間内の日常言語として使用しています。ジュルアと話す時だけポルトガル語を使用するといった感じです。
サンパウロ市内のグアラニ族は州立学校でポルトガル語も勉強していますが、集落で暮らす限り、あくまでも日常生活はトゥピー語が基本です。
そんな彼らの感覚からすると、「私は日本人」と名乗っても、外国人というよりは、どこの土地の人かは分からないけれど、とにかく「よその人、外部の人、異部族の人」という感覚が先に立つようにも感じとれます。
つまるところ、日本人は地球上の「ニッポン族」という見方の方がしっくりくる事もありそうです。
ブラジルのグアラニ族の人々
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3 - Comments
道下より:
2015 年 04 月 06 日 15:43:15
見たところ、実にゆったりした民族のように思えますが。
大浦より:
2015 年 04 月 07 日 02:34:17
道下さま
彼らに接すると、実に現代人が現代生活にのまれて生活している事を否が応でも感じさせれれます。現代社会にありながら彼らの方がまだまだ古き良き人間的な生活を守ろうとしているように見えます。
道下より:
2015 年 04 月 07 日 15:26:50
「スローライフ」ですね。せっかちな生活をしている私なんかにはうらやましいです。
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