おいしいブラジルコーヒーは日本行き!?
2015.08.05 up
収穫された様々な種類のコーヒーの果実
近年も世界の約34%のコーヒー生産高(世界第一位)を誇るブラジル。
ブラジルの人々はコーヒーを日本のお茶やお水感覚でよく飲みます。
コーヒーの生産地にいるブラジルの人々は「さぞやおいしいコーヒーを飲んでいるのだろう」と思いしか、日本から来たばかりのコーヒー好きの人が、そこら辺で手当たり次第にブラジルのコーヒーを飲んで「水っぽい感じがしてあまりおいしくない」と感じることは珍しい話ではありません。
そして、その感覚には大きな間違いはなかったというような話をプロのコーヒー鑑定士に伺う機会がありました。
コーヒーの生豆を選別するコーヒー鑑定士のミルトンさん
ブラジルコーヒーの約65%の輸出港であるサントス市で、半世紀以上コーヒー鑑定士として活躍してきたミルトン・リベイロさん(72歳)によると、ブラジルで生産される日本人好みな香味優良で高品質なコーヒーは、ドイツ、日本、イタリアといった国に多く輸出されるそうです。
何種類ものコーヒーの木がある中で、高値の品種の一つがブルボン(果実は黄色)で、日本には輸出されていますが、ブラジル市場ではごくわずかしか出回っていません。一般庶民の食卓で上る事はほとんどないといっても過言ではありません。
近年の相場でいえば、ブルボン(アラビカ種)が900レアル/60kg、ブラジルで消費される約70%に含まれるという生産性の高いコニロン(ロブスター種)は250レアル/60kgです。この価格差を見ると、味の差もずいぶん差があるのだろうと想像できます。
ちなみに、ブラジルで生産されている約90%はムンドノーボとカトゥアイ(ともにアラビカ種)で、500から600レアル/60kgです。
※コーヒーの価格はニューヨークの相場で変動します。60kgというのは、コーヒーの生豆を運ぶ際の一袋の重さで、取引の単位になっています。
ふるいにかけて選別された日本へよく輸出されるサイズの平豆のサイズ(一番上の箱)
コーヒーの木の種類に加えて、品質に差が出るのは、豆の粒の大きさによります。
コーヒー豆には平豆と丸豆があります。平豆は基本的に10段階、丸豆は4段階の大きさにふるいにかけて分けられます。
平豆の場合、日本へ輸出されるのは8、9段階の大きめのものがよく選ばれるそうです。丸豆は2、3段階の大きさのものだということです。
粒の大きさがそろっていれば、焼きむらも無く、粒が大きければふっくら香ばしく焼きあがります。
一方、ブラジルでは平豆の10段階や丸豆の4段階の大きさにも満たない、極小で欠損のある豆が焙煎して市場に出回る事も珍しくないそうです。
商品にもよりますが、ブラジル一般のスーパーマーケットなどでは、日本人好みの香味優良な素材から厳選された商品は、よく注意して選ばなければならない模様です。
厳選素材のおいしいコーヒーを飲むなら、生産国ブラジルより輸出された日本の方が可能性が高い!?というのは皮肉な話に聞こえてきます。
10段階の大きさに入らず、底の箱にたまった平豆
鑑定時に平豆を10段階の大きさに選別してきたふるいの箱
レポーター「大浦 智子」の最近の記事
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