ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

前の月へ

2024.4

次の月へ
S M T W T F S
 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30     

アラブ系コミュニティーから選ばれた功労者への表彰式

アラブ系コミュニティーから選ばれた功労者への表彰式

 8月25日、今年もサンパウロ州議会に設置されているCONSCRE(世界各国に由来する文化とルーツのコミュニティー委員会)が、ブラジルに貢献してきた各国コミュニティーの功労者に対して表彰式を行いました。

 2001年に創設された同委員会は、ブラジルに存在するルーツや文化を異にする各国コミュニティーの統合を目指し、人それぞれのオリジナルの文化を保存していくことを目指します。


日系社会の功労者として選ばれた下本八郎元サンパウロ州議会議員

日系社会の功労者として選ばれた下本八郎元サンパウロ州議会議員

 中東をはじめ世界各地で、民族、宗教、経済問題などが複雑に絡み合い、紛争が絶えません。そのような中、ブラジル、特にサンパウロは世界100カ国以上と言われる移民が集まって街を発展させてきた事実があります。

 市民の経済格差、治安問題、何事もアバウトなところがあることから目をそらせば、肌の色の違い、宗教、民族、習慣といった変え難い個性について差別をしたりバカにして不快な気持にさせられることはほとんどありません。ましてや喧嘩になって血を見るような戦いにはなりません。

 シリア・コミュニティーから選出されたCONSCREの元代表レスカーラ・トゥマ氏(86歳)は、祖母と父親の兄弟がオスマントルコ帝国時代末期の宗教差別と政情不安定な中東から命がけでブラジルに移民しました。
「ブラジルではアラブ人もユダヤ人も日本人もキリスト教徒も平和共存しています。これはブラジルが世界に誇るべきことです」
と強調します。

 中東ではイスラエルと周辺のアラブ諸国の対立、イスラム教の過激派とキリスト教の対立がクローズアップされますが、それらの土地からブラジルに移民してきた人たちがブラジルで争いを続けることも目にしません。

 ブラジルで活躍を続ける世界各地からの移民とその子孫は、戦争をしなくても、それぞれの文化をブラジルに適応させて国の発展に寄与し、平和共存してきた生き証人と言えます。

 そのことを誇りにするサンパウロ州が、毎年、各国コミュニティーの功労者に敬意を称して表彰式を行っています。 


CONSCREの元代表でありシリアコミュニティーの顔でもあるレスカーラ・トゥマ氏(赤いネクタイの男性)

CONSCREの元代表でありシリアコミュニティーの顔でもあるレスカーラ・トゥマ氏(赤いネクタイの男性)

 今年は全11カ国のブラジルを代表する各国コミュニティーの功労者が表彰されました。日系社会からは下本八郎元サンパウロ州議会議員が表彰されました。

 招待者は各国コミュニティーの代表であると同時に、ブラジルの第一線で活躍してきた名の知れた人も多く、世界各国にルーツを持つ人々がオリジナルの文化も生かしながらブラジル、サンパウロを作り上げきたことがよく分かる表彰式です。


表彰式の招待客

表彰式の招待客


CONSCRE(世界各国に由来する文化とルーツのコミュニティー委員会)の案内

CONSCRE(世界各国に由来する文化とルーツのコミュニティー委員会)の案内


レポーター「大浦 智子」の最近の記事

「ブラジル」の他の記事

  • 849 ビュー
  • 0 コメント

0 - Comments

Add your comments

サイト内検索

Name(required)

Mail(will not be published)

Website

Archives