ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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サンパウロのポルトガル料理店で張り出されていた『売ります。ポルトガルのリボルバー(回転式けん銃)。一回だけ使用』

サンパウロのポルトガル料理店で張り出されていた『売ります。ポルトガルのリボルバー(回転式けん銃)。一回だけ使用』

 サンパウロにある一軒のポルトガルの干しダラ料理専門店。その店内にこんな張り紙がありました。

『売ります。ポルトガルのリボルバー(回転式けん銃)。一回だけ使用』
張り紙には確かにけん銃の絵が描かれています。

 ブラジルでは車でも家でもよく『売ります』のビラが個人的に張り出されています。けん銃まで自由に売買されているのにびっくりして、ポルトガル系ブラジル人の女主人マリアさんに、
「けん銃を売る人がいるんですか?」
と尋ねると、我が意を得たりというように笑います。
「あの絵をよく見て!」

 一見するとなんか変なけん銃だという気はしていましたが、よく見ると確かに引き金の向きに対して銃口が自分の方に向かっています...。 要は、引き金を引いた本人が撃たれてしまうというけん銃です。


『売ります。ポルトガルのリボルバー(回転式けん銃)。一回だけ使用』の張り紙が貼られたサンパウロのポルトガル料理店の店内

『売ります。ポルトガルのリボルバー(回転式けん銃)。一回だけ使用』の張り紙が貼られたサンパウロのポルトガル料理店の店内

 「ピアーダ」という笑い話・冗談は、ブラジルを代表する文化の一つです。有名無名を問わず数多くのピアーダが存在します。

 中でもブラジル人は旧宗主国のポルトガル人をからかうようなピアーダをたくさん作っていることが知られています。例えば、
 “壁に釘を何回打っても釘が曲がった。壁の後ろを見るとポルトガル人が頭をもたれていた(ポルトガル人は頭が固く、ブラジルで旧態依然として古いやり方を押しつけるというような揶揄)”

 ブラジルは多民族、多人種で成り立ち、世界史上ではヨーロッパ人のブラジル発見(1500)以降、ポルトガル人やスペイン人をはじめ、19世紀から20世紀にかけて世界各国からの移民が移り住みました。そのため異民族の特徴を笑い話にしたピアーダも少なくありません。

 ポルトガル料理店に張り出された『ポルトガルのリボルバー』も、「ポルトガル人に対するピアーダへ、小さなピアーダで挑発」といったところです。

 女主人のマリアさんもお客さんが驚いていることを楽しみつつ、両親祖父母、自らも何年も生活したポルトガルをこよなく愛し、おいしいポルトガルの伝統的な干しダラ料理店Tonelを8年前からオープンしています。


Tonelのポルトガルの伝統的な干しダラ料理の一つ「バカリャウ・ア・ブラス」

Tonelのポルトガルの伝統的な干しダラ料理の一つ「バカリャウ・ア・ブラス」




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