ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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 サンパウロ市内でバスの車窓越しに一瞬目を疑った銅像。何とラテンアメリカ諸国の独立前後の革命家の英雄像にマスクが!

 誰かの冗談かいたずらかと気になるものの、サンパウロ市は大気汚染もひどく、時に悪臭が漂う場所もあり、リアルな現実表現で「公共物へのいたずら」などといって叱りたいとも思えないのが人々の心情です。


 意味深なマスクについて改めて調べてみると、8月からサンパウロ市内の11個の銅像に外科用マスクが付けられました。

 きっかけは、サンパウロ市議会議員が提出した法案で、「サンパウロのディーゼルエンジンのバスをクリーンエネルギー車に置き換えることを20年後に延期する」という内容への抗議行動です。

 2009年に可決した法案では、2018年までに毎年10%の市内バスをクリーンエネルギー車に入れ替えるということになりましたが、全くその数値には達しておらず、それに対していくつかの市民団体が抗議の声を上げました。

 議員は「車やバイクがバスよりもはるかに大気汚染に関わっている」と主張し、市民団体は「心肺機能に直接害を及ぼしており、肺がんなど深刻な健康問題に関連している」と、双方が一歩も主張を譲りません。


 サンパウロの大気汚染は誰もが身を持って実感しています。個人の力では一朝一夕に改善できず、ブラジルらしい銅像のマスクによる小さな抗議は、誰も傷つけることなく大きなインパクトがあります。

 もう一つ、思いがけずマスクが示すリアルな表現となってしまったのが、大きな格差社会のブラジル。路上生活者が頻繁に広場などで野宿をしていますが、風呂も入れずごみを放置し、大都会のビルが立林する合間で異臭を放っていることがあります。マスクをした銅像のすぐそばでも路上生活者がおり、その異臭を銅像がさえぎるかのようで、環境問題だけでなく、社会問題にまで意識せざるを得ないマスクとなりました。




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