ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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フルーツの砂糖菓子を販売する屋台

フルーツの砂糖菓子を販売する屋台

 ブラジルらしいお菓子の一つに日本のザボン漬けをほうふつとさせるフルーツの砂糖漬けがあります。

 ポルトガル語では、ラランジャ・クリスタリザード(オレンジの砂糖漬けの意味)のように、フルーツの名前にクリスタリザード(砂糖漬けの意味)という言葉を付けて砂糖漬けのことを表現します。

 サンパウロでは、一般のスーパーマーケットよりも、どちらかと言えば、屋台などの出店でいろいろなフルーツの砂糖漬けが山盛りで販売されているのをよく見掛けます。

 日本ではオレンジやザボン漬けといった柑橘(かんきつ)類の砂糖漬けしか思い浮かばない気がしますが、ブラジルでは、カジュー(カシューナッツの採れるフルーツ)やパイナップル、イチジク、バナナ、カボチャなど、もっと多くのフルーツが砂糖漬けにされています。砂糖でまぶしたものだけでなく、ピーナツ、ココナッツにはたっぷりの砂糖で煮固めたお菓子もおなじみの砂糖菓子です。


屋台で販売されるフルーツの砂糖菓子

屋台で販売されるフルーツの砂糖菓子

 ブラジルのお菓子についての記述を読んでみると、この砂糖漬けのお菓子はブラジルの植民地時代には既に作られていたことが記されています。

 特に17世紀前半、オランダ西インド会社が統治してサトウキビ栽培が栄えたブラジル東北部からは、ブラジルのトロピカルフルーツで作った砂糖漬けのお菓子がオランダまで輸出されていたということです。

 Wikipediaによると、日本のザボン漬けは、江戸中期頃から作られるようになったとの記述があります。江戸中期と言えば1700年代。当時の日本は、ヨーロッパ人ではオランダ人しか表向きの貿易が認められていませんでした。そのオランダ人がブラジルで覚えたフルーツの砂糖漬けを世界各地に持ち運び、日本にももたらしたと推測できます。


屋台で販売されるフルーツの砂糖菓子

屋台で販売されるフルーツの砂糖菓子

 かつて貴重だった砂糖が植民地時代のブラジルで栽培され、その砂糖菓子からザボン漬けの知恵もオランダ人によって日本にもたらされたとすると、ブラジルの日本人移民史は今年で110周年と言われますが、日本とブラジルの関係はお菓子を通して300年くらい前から“甘い糸”で結ばれていたとも言えそうです。




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