ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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海を見つめる移民の親子像と隣接する神戸メリケンパークオリエンタルホテルと海を背景に「BE KOBE」の文字の置物

海を見つめる移民の親子像と隣接する神戸メリケンパークオリエンタルホテルと海を背景に「BE KOBE」の文字の置物

 20世紀、神戸市はブラジルに多くの日本人移民を送り出した港町でした。姉妹都市はリオデジャネイロ。姉妹とはよく言ったもので、六甲山から見渡す大阪湾の風景とコルコバードの丘から眺めるグアナバラ湾の景色は似たものがあります。

 地元名物の神戸祭りは何十年も前からサンバのパレードが恒例行事です。他にもコーヒー会社大手「UCC」の本社があるほか、「コパカバーナ」「ブラジル」「元町サントス」といったブラジルゆかりの地名のついた飲食店なども存在感を保ってきました。


神戸元町商店街にある喫茶店「元町サントス」

神戸元町商店街にある喫茶店「元町サントス」

 そんな神戸港の波止場の一つに、2001年6月、「希望の船出」と記された台座の上に海を向いて立つ3人の移民の親子像が建てられました。1998年にブラジルへの公式移民90周年を迎えた年、サントス市の海岸で、内陸を向いて「この大地に夢を」と記された台座の上に3人の移民の親子が内陸を向いて建てられました。それに呼応して建てられたものでした。

 現在も神戸市のシンボルとなっているポートタワーと海洋博物館の最寄りの海辺に、親子像は遠く広がる大海原を見つめ続けています。しかし、通常は素通りされているような印象を強く受け、時々観光客が好奇心で見ていることもありますが、隣接するメリケンパークオリエンタルホテルと海を背景に「BE KOBE」の文字の置物と記念撮影している人の方が目立ちます。日本移民のことは忘れ去られた過去のような印象です。


神戸のメリケンパークに植えられたイペー

神戸のメリケンパークに植えられたイペー

 移民の親子像が立つ波止場から山側に向かって歩きだすと、広場に数種類の樹木が植えられています。その一本を見るとブラジルを代表するイペーもあります。ブラジルを感じさせる神戸の一風景です。


JR元町駅前のサントス市にある建物のデザインを模した交番

JR元町駅前のサントス市にある建物のデザインを模した交番

 移民の親子像から山側へ向かうと、途中、中華街の南京町を横切り、JR元町駅前のサントス市にある建物のデザインを模した交番を通り過ぎ、やがて坂を上って道路のつき当たりに到達すると、かつて移民が神戸港を出発するまで一時滞在していた旧移民収容所があります。
 
 今は「海外移住と文化の交流センター」となり、かつての部屋が再現され、ブラジル移民に関する展示品や映像などが設置されています。ブラジルをはじめとする文化交流イベントが行われていることもありますが、普段はひっそりとした印象です。


神戸市内にある海外移住と文化の交流センター

神戸市内にある海外移住と文化の交流センター

 おしゃれな洋服売り場からマクドナルドなどの室内音楽にまで、所々で確かにブラジルのにおいを感じさせる神戸の情景です。しかし、こと日本人移民に関することになると、すっかり風化して関心が薄い町の空気感に、日頃サンパウロの日系コミュニティーが身近な者からすると、何とも物足りなさと少し寂しい感じのする日本の風景です。


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