ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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難民に関わる問題について質問するケニア出身のエリックさん

難民に関わる問題について質問するケニア出身のエリックさん

 6月20日『世界難民の日』に合わせ、6月はサンパウロ市内各所で難民に関する様々なイベントが開催されていました。

 6月26日には、難民を支援するNGOア・アフリカ・ド・コラソン主催の『カフェ・コンテンポラネア』という講演会がサンパウロ市議会議場で行われました。

 イベント名を訳すと「現代のコーヒー」。2017年にブラジルの移民法は大幅に改正され、19世紀、20世紀の花形だったコーヒー労働に関わるために到着した移民は昔日の事となり、現在は移民とういう形ではなく、難民という形でブラジルで生活をはじめ、やがて移民となっていく世界各国出身の人々が目立つようになりました。


『カフェ・コンテンポラネア』に集まった人々

『カフェ・コンテンポラネア』に集まった人々

 『カフェ・コンテンポラネア』で登壇したのは主にアフリカや中東出身の難民で構成された主催者のメンバーほか、イベントを支援しているサンパウロ市議会議員、CONARE(ブラジル国家難民委員会)とUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の代表、サンパウロ市の移民政策および正規労働の推進のための政策コーディネーターの方たちでした。ブラジルやサンパウロでの移民の現状などの解説されました。

 2017年にブラジルで認定された難民は世界79カ国10145人、難民申請者は33866人。

 日本では一年に認定されるのが20~30人という事に比べると大きな数ですが、難民の声として、ブラジルは指定された国出身者であれば受け入れてもらうことはできても、実際には正式な認定が長期間下りなかったり、いざ生活を始めても仕事がないなど、日々の暮らしは決して穏やかではないということでした。 


難民ワールドカップについて解説するシリア出身のアブドゥルバセットさん

難民ワールドカップについて解説するシリア出身のアブドゥルバセットさん

 2014年にコンゴ民主共和国出身のジャン・カツンバ・ムロンダイさん(40歳)によって創設された同NGOは、これまで難民の書類手続きの支援などを行ってきた他、毎年難民ワールドカップを主催し、注目を集めるようになりました。

 難民の存在を知ってもらい、難民自身も誇りをもってブラジル生活が送れるようにとの願いを込めて開催されてきた難民ワールドカップ。最初はサンパウロ市内だけでの大会だったのが、第6回目を迎える今年は7月から順次リオデジャネイロ市、ポルトアレグレ市、クリチーバ市、ブラジリア市、レシーフェ市を含めた6都市で地方戦が行われ、9月にブラジルを代表するリオのマラカナン・スタジアムで決勝戦が行われる予定です。


難民に関わる問題について質問するコンゴ民主共和国出身のクラウジアさん

難民に関わる問題について質問するコンゴ民主共和国出身のクラウジアさん

 NGOアフリカ・ド・コラソンは20代、30代が中心になって運営されてきました。『カフェ・コンテンポラネア』や難民ワールドカップといった企画も、世界の難民問題を考え、一つの方向性を示していくためのブラジル発の新鮮な取り組みに違いありません。

 会議室の横に据えられたカウンターでコーヒーを飲みながら難民問題について考えるというのもブラジルらしい企画でした。


会議で紹介された2017年のブラジルでの難民認定数の状況など

会議で紹介された2017年のブラジルでの難民認定数の状況など


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