メキシコ

メキシコ:グアダラハラ

龍崎 節子(りゅうざき せつこ)

職業…民芸品輸出、撮影コーディネート、通訳翻訳
居住都市…グアダラハラ(メキシコ・ハリスコ州)

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 数年前から街中で「パニックボタン」というものを見かけるようになりました。街や村の中心部、バス停や信号のある交差点などの街灯の支柱に紫色のパネルとともにカメラ付きインターホンのようなものがついています。その横には一人がけの小さなベンチもあります。これが街に出始めたのが2021年。メキシコシティや周辺都市で女性が狙われる暴力、誘拐殺人事件が多発していた頃で、グアダラハラでもその波を感じ始めていた時期です。


 21年の夏、グアダラハラ中央には女性を表すマークの紫色のポールが立ちました。そこには「許さない、忘れない」という言葉とともに、力強い握り拳が象(かたど)られています。さまざまな犯罪の被害にあった女性たちへの鎮魂とさらなる被害防止を印象付けるためのものです。ここから、メキシコ第二の都市グアダラハラを擁するハリスコ州での「女性を犯罪から守る運動=パープルポイント運動」が始まりました。


パープルポイント運動のモニュメント

パープルポイント運動のモニュメント

 街中で人目につく場所にあるこの「パニックボタン」は、暴力や犯罪被害の危機にある女性を迅速に保護するためのもので、警察の関係部署にダイレクトでつながるとのこと。例えば、家庭内暴力(DV)被害に遭っている女性たちが命の危険に晒された時など、ここでボタンを押し状況を連絡して待っていると、すぐに警察などに保護されるようです。連絡が途絶えることのないよう、携帯電話の充電が可能な装置もついています。

 家族が常に家庭内にとどまらざるを得なかったコロナ禍で特に件数が増えたDV。この対策で身の危険を感じた女性たちが少しで多くも救われ、声を上げる勇気を持ったことと思います。




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