
殺到するジンバブエ人
南アは12月16日が祝日で、メーカーなどの製造業関係の会社は工場の稼働をストップし、その日から約3週間の長い休暇に入ります。
この時期、南アにいる外国人も故郷に帰り、故郷にいる家族や親せきとクリスマスを過ごす人がほとんどですが、今年は多くの不法入国者のジンバブエ人が故郷に帰られないでいる状況となっています。
理由は、南ア政府が隣国・ジンバブエからの不法移民に対し、来年度から入国許可証を持たない場合は強制送還をすることを決定したためです。
入国許可証の申請受付の期間は、昨年から期間を2度に分けて始まっており、今年の12月31日を持って申請受付が打ち切りとなるため、申請所にはジンバブエ人が殺到しています。
入国許可証を持たないまま、南アを出国してしまうと、2度と南アへ戻れないということとなり、南アで仕事をし生計を立てているジンバブエ人にとっては死活問題となるため、入国許可証を入手するまで故郷に帰れないのです。

政府の発表によると、これまでに、12万人以上が申請を行っているそうです。
作業が遅く、書類の紛失など日常茶飯事の南ア政府が、この殺到する申請受付を素早く対処できるはずもなく、新聞の報道によると、昨年、申請受付が開始された日の翌日に申請した人が、未だに許可証が発行されていない状況にあるようです。
今回のジンバブエ人の「締め出し」とも言える動きの目的は、仕事もせずに南アにいる不法入国者を追い出し、治安を良くするためと、増え続けるジンバブエ人移民に仕事を奪われた南ア人労働者たちの不満を和らげるための政策でもあるように思えます。彼ら不法入国者の中には、犯罪履歴を持つ人が多いのも事実です。
ジンバブエは現在、ロバート・ムガベ大統領の独裁政権下にあります。劣悪な経済事情に加えて、秘密警察による監視や反体制派への暴力など言論の統制を受けることから「世界最悪の独裁国家」と評されています。
そもそも不法入国をすること自体が悪いとは言え、厳しい環境にあるジンバブエに強制送還となる人々の生活を考えると、複雑な思いがしてしまいます。
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1 - Comments
爆走OMITSUより:
2010 年 12 月 29 日 12:57:05
いろいろなお国の事情があるとは思うのですが、ジンバブエ人がいなくなると、南アも労働力などの面で困るのでは・・・またジンバブエも貧困がひどく、働き口などもないので、南アに来るのでしょう・・・
クリスマスを我が家で迎えることができないジンバブエの労働者がかわいそうで、やはり心が痛みます。
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