スウェーデン

スウェーデン:ウメオ

山本 グィスラソン 由佳(やまもと ぐぃすらそん ゆか)

職業:音楽関係
居住都市:ウメオ(スウェーデン)

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今回は赤ちゃんに与える「おっぱい」について、日本とスウェーデンにおける観念の違いを紹介したいと思います。

「げんこつ山のたぬきさん おっぱい飲んで ねんねして…」という童謡もあるように、日本では「おっぱいを飲む」という言い方のほうが一般的ですね。

スウェーデンでは赤ちゃんにあげる「おっぱい」を、mat(マート)つまり「食事」と表現します。赤ちゃんに授乳するのはご飯をあげること、おっぱいは「飲む」物ではなく、「食べる」ものという考え方です。
ここで使われる動詞も、äta(エータ=食べる)であり、dricka(ドリッカ=飲む)ではありません。

「赤ちゃんがおっぱいを飲んでいる」を、スウェーデンの文化を踏まえたうえで訳すると、「Babisen äter mat.(ベビーセン エーテル マート)」となります。

母乳や乳児用ミルクは「液体」ではありますが、赤ちゃんにとっては重要な食事、単なる飲み物ではありません。特に離乳食を始める前の赤ちゃんにとっては発育のために必要不可欠な「唯一の栄養源」です。
そう考えるとスウェーデンのように、「食べる」「ご飯」と表現するのが本来適切な表現のように思います。


授乳に関する考え方も、スウェーデンと日本では大きな違いがみられます。

日本の公共の授乳室は、カーテンの仕切りがついていたり、大部屋であっても男性は入室禁止とされている場合が多いのですが、スウェーデンの授乳室はパパもママも自由に入ることができます。皆さん赤ちゃんにおっぱいを「食べ」させながら、他の親たちと談話したり心休まるひとときを過ごす場所となっています。
また日本では母乳の授乳場所に困ることもありますが、スウェーデンではその心配は全く無用。バスや電車の中や市街地のベンチ、レストラン、どこであっても、赤ちゃんが必要なときにいつでも母乳を「食べ」させています。

おっぱいは赤ちゃんにとっては「食事」、子どもが必要な時に与えるのは当然の行動であり、人前で授乳することを恥ずかしがる日本のほうが特殊という、スウェーデン人や他の外国人の見解もありますが、まさにそのとおりなのかもしれませんね。





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