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台湾:台北

小川 聖市(オガワ セイイチ)

職業…日本語教師、ライター

居住都市…台北市近郊の新北市(台湾)

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準決勝の試合終了後の様子

準決勝の試合終了後の様子

 3月9日に行われた高校バスケHBLの男子決勝。結果は予想通りながら、試合はしびれるものになりました。

 その主役になったのは、屏東高中(ピンドンガオジョン、正式名称は國立屏東高級中學)の選手たち。屏東高中は、HBL優勝4回の実績がある強豪校の一つです。過去4年は8強にも残れず、低迷していましたが、今年は2次予選で敗者復活戦を乗り越え、準決勝リーグも4勝3敗の4位で決勝トーナメントに進出しました。
 決勝トーナメントも、準決勝の対戦相手が優勝候補の三民家商(サンミンジャーシャン、正式名称は高雄市立三民高級家事商業職業学校)であることと、過去の低迷状況から決勝進出を予想する声は少なく、注目も低かったチームです。

 屏東高中は決勝トーナメントに入り、準決勝では最大10点差をひっくり返して82ー80の逆転勝ち。15年ぶりの決勝進出を決めました。


決勝の様子

決勝の様子

 決勝は、前年の優勝チームで、優勝候補の一つでもある能仁家商(ノンレンジャーシャン、正式名称は私立能仁高級家事職業學校)。こちらも、2次予選で82ー63、準決勝リーグで84ー69と能仁家商が圧倒していることから、それに近い予想を立てるファン、関係者も多くいました。

 試合はその予想通りに進み、第3ピリオド終了時点で70-47。
 何度も「終わったな……」と思えるシーンも見られ、私自身、そういう感じで眺めていました。


倒されても、疲労がたまっても……

倒されても、疲労がたまっても……

 屏東高中は、昨年10月の予備予選から決勝までの21試合のほとんどの時間をスターティングファイブで乗り切っていて、上の写真のように、倒されてすぐに起き上がれなくなる選手や、ケガでボロボロにになっている選手が見られ、フリースローでは負傷箇所かばい、片手で行っていた選手もいました。

 そのため、その5人が何らかの形でゲームから退いたら、その時点でジ・エンドになることが容易に想像でき、いつそれが来てもおかしくない状態でした。


10点差に詰めるシュートを決め、雄叫びをあげる張瑋帆(ジャン・ウェイファン)

10点差に詰めるシュートを決め、雄叫びをあげる張瑋帆(ジャン・ウェイファン)

 ところが、第4ピリオドに入り、そのスターティングファイブが「このまま終わってたまるか」ということで、意地を見せ、残り45.94秒で76-86と10点差まで追い上げる健闘を見せます。しかし、前年の優勝チームで地力に勝る能仁家商には及ばず、78ー90で敗れ、優勝を逃しました。
 


試合終了後、ベンチに座り込み、涙を流す屏東高中の先発メンバーたち

試合終了後、ベンチに座り込み、涙を流す屏東高中の先発メンバーたち

 試合終了後、歓喜に浸る能仁家商の選手たちを横目に、屏東高中の選手たちは悔し涙を流していましたが、合計21試合、ほぼ出ずっぱりだったスターティングファイブは、しばらく上の写真のようにベンチに座り込んでいました。

 コーチやチームの関係者らは、すぐに駆け寄り、涙目で「お前らはオレの誇りだ! 最高の選手たちだ! 本当に素晴らしかったぞ!」と、見ている側の気持ちを代弁するかのように声を掛けていました。

 私自身、ケガと疲労でボロボロになりながら最後まで戦い抜いた選手たちの姿に、思わず涙。それを慰めるコーチたち姿にも思わず涙、でした。

 結果も内容も表面的にはワンサイドゲームですが、屏東高中の選手たちが決勝戦で見せたものは、現代では死語になりつつある「ド根性」。日本以外で見た「ド根性」は、間違いなく多くの人々をアツくし、感動的な涙を誘いました。


*試合の映像
http://www.youtube.com/watch?v=cew8YbN2sB8


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