メキシコ

メキシコ:グアダラハラ

龍崎 節子(りゅうざき せつこ)

職業…民芸品輸出、撮影コーディネート、通訳翻訳
居住都市…グアダラハラ(メキシコ・ハリスコ州)

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 ニート、という言葉を日本のマスコミが使い出して久しくなりますが、メキシコでも 「ni estudia, ni trabaja(勉強もせず、仕事もしない)」の略語としてニニ、というあだなを付けられた若者達がいます。

 日本の「ニート」は、無職で家にひきこもり、夢も希望も技術もなく、親御さんも世間に顔向け出来ないという感情を持っていて、どちらかというと暗いイメージがありますよね。
 メキシコのニニは打って変わって、4年制のそれなりの大学を出た後も職には着かず、けれど高級車に乗ってブランド物で身を包み、夜ごとパーティに繰り出す若者たち、というのが一般的なイメージです。


私の大学の学生達。君たちは大丈夫だよね!?

私の大学の学生達。君たちは大丈夫だよね!?

 コネと世襲の財産が物を言う、資本主義的階級社会のメキシコ。
 大した努力をせずとも親のコネで国立大学に入り、出席日数が足りないので何年も在籍し、とりあえず卒業はするけれど住む家も食べるものもお小遣いも親がくれるので働く必要性はなく、ときどき誰かに声をかけられてイベントなどの手伝いをする程度。
 技術も知識も経験も乏しいので就職活動は無理だし、第一に就職しようともしない。お金のかかる「好きな事」に没頭し、コンピューターや携帯は常に最新機種、遅寝遅起、ジムには通うけれどやっぱりそれも親のお金。


 う~~ん、近くで見ていると、この人は将来大丈夫なんだろうか、とかなり心配になります。しかも、未婚で子どもが居たりすると、親はその子ども(孫)の費用も全負担。

 よく考えるとこれは、親にも責任大なのです。
 親世代は、甘やかすつもりはないけれど、子ども(ニニ世代)に辛い思いはさせたくないらしく、けれど結果的にそれは子どもを大幅に甘やかしている訳でもあり。(もちろん、その性質は「孫」に対しても同じで、ひどい甘やかしぶり)

 メキシコの場合、この種のニニ生活ができるのは経済的にみて裕福な、国民のわずか数パーセントの若者のみ。
 一方、貧困層の多い地方の寒村では、小学校からすでに家業の手伝いのために学校に行く事が出来ず、夢や希望を育むだけの教育を受けられない子ども、若者達が沢山いるのです。

 国立大学は学費もほぼゼロに近く、成績優秀な生徒は家庭の経済が厳しくてもそれを援助できるような奨学金制度もあります。
 しかしながら、前述のようなコネが物をいい、その狭き門をこじ開けて割り込んで入っておきながらも勉強をしない学生を受け入れてしまうのです。

 広く一般的にはびこっている政治や態勢の腐敗が、次の世代をも腐らせて芽をつぶしている、とまでは考えていないようです。





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2 - Comments

道下より:

2014 年 09 月 13 日 15:10:57

日本で言うところの「すねかじりのボンボン」というべきでしょうか。しかし、甘やかせたとしてもそうした親の支えで成長し、やがては「●●長」になっていく。それもまた現実ですね。

Setsuより:

2014 年 09 月 15 日 06:51:56

道下 様

コメントありがとうございます。
そうなんですよね、それが現実なのですが、やはり受け継いだ会社を親世代の時より大きくしたり、維持するのはボンボンさんたちには厳しくて、使い切り、というのが正直な所です。
中には貧しい中から這い上がって一生懸命な若い人もいるにはいるのですが。。。

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