以前、下記URLで紹介した輔仁大學のメロンパン。学生たちに大好評だったのですが、昨年9月の新学期開始前に「パン屋が撤退し、（メロンパンは）もう食べられない」という報道がありました。

http://www.ima-earth.com/contents/entry.php?id=20131215203340

　その後、報道や現役学生からの情報で、学校の外に店舗を借りて営業していると聞き、その様子を見てきました。

　まずは、上の写真。
　学生たちが多く訪れた食堂は、学校によって閉鎖されていました。貼り紙には、「教育部（日本の文部科学省に相当）及び新北市衛生局の衛生状況改善要求を満たしていないため、（2014年）7月31日の契約満了をもって当施設を閉鎖する」と書かれていました。

　それを受けてか、学校には新しいパン屋がオープン。
　パン屋は現役学生によって運営されているだけでなく、店内のパンは全て全麦で作られ、体にいい、というのが売りです。

　そこにもメロンパンはありましたが、上の写真のメロンパンが2個入って25元（約95元）。

　焼きたてではないので、その香りと柔らかい食感を堪能することはできません。また、見た目からしてボリュームが落ちたように見え、少し貧相に感じられました。

　全麦で作られているので、健康的といえば健康的なのかもしれませんが、空腹の学生がこれでお腹を満たし授業に臨む、というのが想像しにくいものに変わった気がしました。

　その後、学生たちに話を聞き、学校の外にある店舗を探しに行きましたが、校内にあるセブンイレブンの近くにある横門を出て、少し歩いたところに上の写真のところを見つけました。

　中に入ると、奥のほうに……

　パン屋がありました。

　私が訪問したときは13:30ごろでしたが、味を覚えている学生たちが訪れ、メロンパンを買う姿が見られました。

　残念ながら校内でやっているときと違い、メニューはチョコクリーム入りなど3種類、個数も800個から100個に限定されてしまいましたが、それでも人気は不動で、予約をして買いに来る学生もいるほどです。

　店主の方にもお話を伺いましたが、以前は校内の釜で焼いていたものを今は外の業者の釜を借りて焼いているので、パンの個数と種類はどうしても限定せざるを得ないとのこと。また、スペースの関係で保管先から車でその都度お店に運ばなければならず、以前のように焼きたてが提供できない、ということでした。

　続けて、「なんとかもう一度校内に戻って、（自分が作ったパンを食べている）学生たちが喜ぶ顔を見たい」と話していましたが、既に新しいパン屋があることから、その道のりは限りなく険しいようです。そして、「校内で15年やってきて、輔仁大學には愛情があり、よその大学でゼロからの出発は（新規開拓の困難も含め）考えにくい」と複雑な心境を吐露していました。

　久しぶりにチョコクリーム入りのメロンパンを食べましたが、過去に食べたメロンパンの焼きたての香りと温もりを振り返りながら、過去15年の学生たちの気持ちを考えてみました。

　・焼きたてのパンの香りと温もりに冷えきった心をあっためてもらったよなぁ
　・ちょっと立ち寄って買ったけど、あのメロンパンの優しい味は授業前にお腹も心も満たしてくれたよなぁ
　・お金がなくて苦しいときに、このパンに何度も助けられたなぁ

　……という感じでしょうか。
　現在と過去の学生たちの思いがギッシリつまったものを、「契約満了」というビジネス的な表現でスパッとやめてしまったので、随分ドライな世の中になったなぁ、と思わずにいられませんでした。

　店主の方は、最後に「ここの施設も仮設だから、105年（中華民国の元号、2016年のこと）中には立ち退かなければならないんだ」と付け加えました。多くの学生が愛した味が、もうすぐなくなってしまう危機にさらされているのかと思うと、本当に寂しい限りです。

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