
南京復興駅の構内に貼られている禁止行為の表示
ずいぶん前になりますが、台北の公共交通機関・MRT(台北メトロ、捷運)で車両内と駅構内での飲食禁止の記事を上げました。上の写真の禁止事項の貼り紙にもありますが、結構な額の罰金が課せられますので、注意が必要です。
【参考】
http://www.ima-earth.com/contents/entry.php?id=20135518458
飲食行為で罰金を課せられる事例は、担当の調査官に怒って暴言を吐くなどのような深刻なものでなければ、新聞やテレビなどで扱われることはないでしょう。
ただし、これが痴漢、スカートの中の盗撮といった刑法に触れる行為の場合、話は別です。6月8日に、観光で台北を訪れた日本人男性がMRT中山駅にあるエスカレーターで、女性のスカートの中を盗撮した容疑で逮捕されるという事件が起きました。
【参考】
https://news.ebc.net.tw/news/society/496839

車両や駅構内で必ず見かける性犯罪予防のポスター
日本では、逮捕された男性の勤務先にあたる岩手県が6月18日に会見を開き、管理職の方が陳謝したことが全国レベルのニュースで取り上げられているので、知っている方も少なくないと思いますが、台湾では日本よりも早く報道されています。日本では、男性の具体的な情報が出ていませんが、台湾では男性の名字も年齢もしっかり出ています。
【参考】
https://youtu.be/Q2STfvOBXec?si=TWN32QLNO3qdv4H-
https://www3.nhk.or.jp/lnews/morioka/20250618/6040025970.html

松江南京駅構内の監視カメラ
この盗撮事件は、私が日本語を指導している際にも話題になり、いろいろ質問を受けました。
その質問は、だいたい以下のもので、複数のところで受けています。
1.逮捕された人が自身の休暇中に起こした犯罪で、なぜ勤務先の上司が、わざわざ会見を開いて陳謝しないといけないの? 休暇中なら所属先は関係なく、全部本人の責任じゃないの?
2.監視カメラがあってすぐバレるのに、どうしてそういうことをするの?
いずれも返答に困るものですが、私は以下のように返答しました。
1.確かにそのとおりなんだけど、休暇中の行動や過ごし方に関しても、所属先は指導できる範囲できちんと指導できず、このような結果を招いて申し訳ない、という意味だと思う。岩手県職員は公務員だから、台湾で逮捕されて出勤できないため、当該男性の担当の部門に影響が及ぶ可能性があるから、その方面の人たちに対して陳謝しているのではないか。公務員の給与がどこから出ているかを考えると、県民のみなさんに頭を下げるしかないと思うよ。
2.監視カメラが、日本の駅よりも多く設置されていることを知らないんだと思う。詳しいことはわからないから「たぶん」だけど、当該男性は日本でも実際にやったことがあって、その時は何事もなくうまくいったから、台湾でも同じようにうまくいくと思ったのではないか。
その場は、以上の説明で収まるのですが、同じような説明を繰り返しするのは、さすがにしんどいです。

大安森林公園駅の1番出口の階段前
X(旧ツイッター)で、この事件に関連する書き込みを見ていると、ものすごく辛辣な言葉が並んでいます。特に台湾在住の日本人男性からは、現地の人から変な印象を持たれるのを嫌うので、ひときわ厳しい言葉が出てきます。
以下、ご参照ください。
観光で台湾を訪れる方の多くは、到着後、桃園MRTでと台北MRTで台北市内に移動する人が多いと思いますが、その際、駅構内と車輌内をじっくり見渡し、監視カメラがどのくらいあるか確認してください。おそらく、日本の電車や駅よりも設置箇所は多いと思います。また、2枚目の写真にある貼り紙を多く見かけると思いますが、以前のと比べシリアス度が一気に上がり、この手の迷惑行為は一切許さないという強い姿勢を見せています。
ですので、台湾ではその行為の様子はしっかり監視カメラで撮影されます。また、周囲の人がその行為に気づいた場合、協力して取り押さえ、駅員を通して警察に身柄を引き渡します。台北市内は日本の街とよく似た雰囲気が漂っているかもしれませんが、日本とは違う、ということは頭に入れておくべきです。
スカートの中を撮る盗撮行為は、刑法第319-1~6条に定められている「妨害性隱私及不實性影像罪(直訳:性に関するプライバシー保護の妨害及び不実の撮影に関する罪)」に該当し、内容次第では5年以下の懲役、50万元(約248万5914円)以下の罰金も課せられる犯罪行為です。

車両内にもしっかり貼られています
6月に逮捕された日本人男性は、最近の報道によると、懲役4カ月、もしくは懲役の期間を1日1000元(約4971円)で換算した額の罰金の納付、という判決が出ました。また裁判では、12万元(約56万6619円)を納付したら居住制限付で保釈が認められると同時に、控訴も可能としています。
判決は、被害者の女性が拒否しているため、和解が成立しないことを受けてのものだそうですが、判決が出た7月下旬の時点でも身柄を拘束されているのに驚きました。
仮に保釈されても、強制送還されることはない、ということですが、帰国後は日本で築き上げてきたものは全部なくなり、再起もものすごく困難になるのではないでしょうか。
台湾で、日本と同じ感覚やアダルトビデオのような軽いノリで性的盗撮や痴漢を行うとどうなるか。どんな報道をされるのか。自分の未来にどのような影響が及ぶか。
以上ご注意いただくと同時に、考えていただくことを願います。
【参考】
https://japan.focustaiwan.tw/society/202507300004
レポーター「小川 聖市」の最近の記事
「台湾」の他の記事
- 2025年8月(2)
- 2025年7月(4)
- 2025年6月(4)
- 2025年5月(3)
- 2025年4月(1)
- 2025年3月(11)
- 2025年2月(12)
- 2025年1月(2)
- 2024年12月(1)
- 2024年11月(4)
- 2024年8月(8)
- 2024年7月(6)
- 2024年6月(7)
- 2024年5月(11)
- 2024年4月(6)
- 2024年3月(3)
- 2024年2月(7)
- 2024年1月(9)
- 2023年12月(3)
- 2023年11月(2)
- 2023年10月(7)
- 2023年9月(4)
- 2023年8月(8)
- 2023年6月(5)
- 2023年5月(2)
- 2023年4月(7)
- 2023年3月(9)
- 2023年2月(4)
- 2023年1月(10)
- 2022年12月(12)
- 2022年11月(3)
- 2022年10月(11)
- 2022年9月(5)
- 2022年8月(7)
- 2022年7月(4)
- 2022年6月(6)
- 2022年5月(10)
- 2022年4月(8)
- 2022年3月(4)
- 2022年2月(10)
- 2022年1月(10)
- 2021年12月(10)
- 2021年11月(2)
- 2021年10月(4)
- 2021年9月(3)
- 2021年8月(4)
- 2021年7月(1)
- 2021年6月(1)
- 2021年5月(6)
- 2021年4月(4)
- 2021年3月(8)
- 2021年2月(10)
- 2021年1月(3)
- 2020年12月(7)
- 2020年11月(5)
- 2020年10月(9)
- 2020年9月(1)
- 2020年8月(5)
- 2020年7月(5)
- 2020年6月(4)
- 2020年5月(6)
- 2020年4月(6)
- 2020年3月(5)
- 2020年2月(6)
- 2020年1月(7)
- 2019年12月(11)
- 2019年11月(10)
- 2019年10月(8)
- 2019年9月(6)
- 2019年8月(9)
- 2019年7月(6)
- 2019年6月(4)
- 2019年5月(12)
- 2019年4月(12)
- 2019年3月(17)
- 2019年2月(22)
- 2019年1月(23)
- 2018年12月(23)
- 2018年11月(21)
- 2018年10月(23)
- 2018年9月(16)
- 2018年8月(18)
- 2018年7月(10)
- 2018年6月(15)
- 2018年5月(19)
- 2018年4月(11)
- 2018年3月(10)
- 2018年2月(10)
- 2018年1月(16)
- 2017年12月(9)
- 2017年11月(6)
- 2017年10月(12)
- 2017年9月(17)
- 2017年8月(8)
- 2017年7月(10)
- 2017年6月(6)
- 2017年5月(14)
- 2017年4月(8)
- 2017年3月(11)
- 2017年2月(9)
- 2017年1月(16)
- 2016年12月(6)
- 2016年11月(5)
- 2016年10月(11)
- 2016年9月(12)
- 2016年8月(9)
- 2016年7月(3)
- 2016年6月(8)
- 2016年5月(10)
- 2016年4月(5)
- 2016年3月(6)
- 2016年2月(5)
- 2016年1月(6)
- 2015年12月(6)
- 2015年11月(1)
- 2015年10月(4)
- 2015年9月(6)
- 2015年8月(4)
- 2015年7月(15)
- 2015年6月(13)
- 2015年5月(10)
- 2015年4月(2)
- 2015年3月(4)
- 2015年2月(3)
- 2015年1月(11)
- 2014年12月(3)
- 2014年11月(1)
- 2014年10月(8)
- 2014年9月(5)
- 2014年8月(1)
- 2014年7月(14)
- 2014年6月(7)
- 2014年5月(12)
- 2014年4月(11)
- 2014年3月(4)
- 2014年2月(7)
- 2014年1月(8)
- 2013年12月(6)
- 2013年11月(6)
- 2013年10月(14)
- 2013年9月(9)
- 2013年8月(6)
- 2013年7月(5)
- 2013年6月(18)
- 2013年5月(4)
- 2013年4月(7)
- 2013年3月(4)
- 2013年2月(2)
- 2013年1月(10)
- 2012年12月(7)
- 2012年11月(7)
- 2012年10月(4)
- 2012年8月(8)
- 2012年7月(5)
- 2012年6月(9)
- 2012年5月(5)
- 2012年4月(3)
- 2012年3月(5)
- 2012年2月(9)
- 2012年1月(12)
- 2011年12月(18)
- 2011年11月(7)
- 2011年10月(9)
- 2011年9月(17)
- 2011年8月(15)
- 2011年7月(8)
- 2011年6月(12)
- 2011年5月(3)
- 2011年4月(14)
- 2011年3月(12)
- 2011年2月(16)
- 2011年1月(15)
- 2010年12月(5)
- 2010年11月(10)
- 2010年10月(7)
- 2010年9月(5)
0 - Comments
Add your comments