台湾

台湾:台北

小川 聖市(オガワ セイイチ)

職業…日本語教師、ライター

居住都市…台北市近郊の新北市(台湾)

前の月へ

2024.4

次の月へ
S M T W T F S
 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30     

討論中の様子

討論中の様子

 過去2年、台湾の高校生たちの冬休みの様子を紹介してきました。

 今回は、2月1~3日に台北市立第一女子高級中學(以下、略称の北一女)主催、劍潭青年活動中心で行われた「世界青年高峰會(World Youth Summit)」の様子を紹介します。

 世界青年高峰會は、もともとは全國青年高峰會(National Youth Summit)という名前で2011年の冬休みから開催され、台湾各地から高校生が集い、台湾内の社会問題部門と、完全英語で国際社会の問題を議論し合う「模擬国連」部門があり、その部門中も2~3つの委員会に分かれています。
 運営は、英国青年議会の精神にならって2010年に創部された北一女の「青年会議」というクラブの生徒たちで行いますが、北一女の英語科と公民科の先生も生徒たちをサポートしています。

 今年は、昨年5月の北一女の国際旅行時に訪問した京都市立堀川高等学校(以下、堀川高校)の生徒代表4名を迎えるということで、名称を「世界青年高峰會」と変更して行われました。


UNSCの様子

UNSCの様子

 その堀川高校の生徒たちは、模擬国連部門のアフリカ内で起きているテロ問題を議論するUNSC(安全保障理事会)と地中海地区で大量発生している難民問題を解決する ECOSOG/ UNHCR(国連経済社会理事会/国連難民高等弁務官事務所)に2名ずつ分かれ、議論に参加しました。
 UNSCではベネズエラ代表(2名)として、ECOSOG/UNHCRではオーストラリア、インドの各代表として参加しましたが、積極的に意見を出し、参加国同士で交わす英語のメモ書き(注:会議中の参加者同士の会話、発言者へのヤジは禁止されているので、メモを交わしながら議論を進めていきます)も、活発に交わしている台湾の高校生たちと比べ、静かだったように見えました。

 終了後、堀川高校の生徒たちに少し話を伺いましたが、議事の進行やリズムの刻み方、会議のスタイルに不慣れで戸惑い、自分の思うように意見が出せず、悔しい思いをしていたようです。

 また、議長役を務めた北一女の生徒も「(堀川高校の生徒たちは)少し緊張気味だったようだ」と振り返りながら、同様のことを話していました。


2日目の夜行われた晩餐会

2日目の夜行われた晩餐会

 2日目の午後の会議終了後、会場の近くにある圓山大飯店で参加者による晩餐会が行われました。
 
 会の途中、歌や簡単なゲームが行われましたが、その際に堀川高校の生徒たちも全参加者たちに紹介され、英語で自己紹介とあいさつを済ませた後は大歓声を集めていました。

 晩餐会には、会議とは別のドレスコード(注:会議は学校の制服やTシャツ、スニーカー、ジーンズといったカジュアルな服装は厳禁)があり、セミフォーマルの服装で臨まなければなりません。
 これは、単なる雰囲気作りからではなく、会食時のテーブルマナーや作法といったものを学ぶ場であり、服装に見合う立ち振る舞いをしてほしいということから決められているものですが、テーブルに戻る前に料理が並んでいるところの通路で、参加者たちが我慢できずに、食べたり飲んだりしてしまったのは高校生ならではなのでしょうか。


参加者全員で記念撮影

参加者全員で記念撮影

 最終日は、午前中に会議を行い、午後からは記念撮影を行い、その後各委員会の決議案の採決と閉会式を行いました。


決議案の採決の様子。会議では、このようにプレート掲げ、議長の許可が下りないと発言ができません

決議案の採決の様子。会議では、このようにプレート掲げ、議長の許可が下りないと発言ができません

 閉会式では、各委員会の議長を務めた北一女の生徒たちの総評とあいさつ後、各委員会で影響力があった参加者の表彰を行い、最後は、主催者の北一女の楊世瑞(ヤン・シールイ)校長のあいさつと、3日間の活動を振り返る動画を放映して、終了となりました。

 
 この世界青年高峰會の模擬国連は、英語ができない私にとっては内容はちんぷんかんぷんでお恥ずかしい限りでしたが、台湾の高校生たちが見せた英語力と高度なディベート力には頭が下がる思いでした。
 そして、その中で引率の先生に励まされながら会議に臨んだ堀川高校の生徒代表の皆さんは、最後お疲れ気味でしたが、自分とは関係がない議決時にダラっと座ったり、居眠りをしたりしていた参加者が後ろの席にいる中で、終始しっかり前を見つめ、背筋を伸ばしていたその姿は、台湾で聞かれる「日本代表」の評判通りで、頼もしく、そして日本人として誇らしく映りました。

 学校で習った英語を使う機会がほとんどなく、外国人を前にしても全然話せない英語の先生が指導していた私の中学・高校時代当時と比べると、こうした機会に巡り会い、貴重な経験ができた堀川高校の生徒の皆さんを、大変うらやましく思うと同時に、時代の変化を強烈に感じずにはいられませんでした。

【参考】
*京都市立堀川高等学校のブログ
http://cms.edu.city.kyoto.jp/weblog/index.php?id=300605&type=2&date=20160208&category_id=10121


レポーター「小川 聖市」の最近の記事

「台湾」の他の記事

  • 900 ビュー
  • 0 コメント

0 - Comments

Add your comments

サイト内検索

Name(required)

Mail(will not be published)

Website

Archives