台湾

台湾:台北

小川 聖市(オガワ セイイチ)

職業…日本語教師、ライター

居住都市…台北市近郊の新北市(台湾)

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開始前の様子

開始前の様子

 16:30頃、入場が許可されましたが、入口の前には、昨年見た金属探知機のゲートがあり、2年連続で面倒な入場を経験する羽目になりました(詳しくは下記URL参照)。

http://www.ima-earth.com/contents/entry.php?id=201562201954

 昨年との違いは、「卒業式にはふさわしいとは言えない目つきが鋭く、片耳にイヤホーンをつけた体格のいい男性たちがあちこちにいて」という感じではなかったこと。吉本新喜劇で、「すみません!」と謝ると、アキが優しく「いいよ~」と返す芸がありますが、その芸が再現されるのではないか、と思えるくらいの優しい眼差しと雰囲気を漂わせていました。

 そして、入場となりますが、講堂の2階の前2列へ誘導されました。
 入場後、撮影した写真が上のものですが、昨年とは違い、緊張感が漂うものでした。

 さて、このような状況の中、紹介VTRの後に現れた方は……


蔡英文(ツァイ・インウェン)総統

蔡英文(ツァイ・インウェン)総統

 台北市立中山女子高級中學(以下、略称の中山女高)の卒業生の蔡英文総統でした。

 蔡総統は、学校関係者の誘導で先に学校の校史室(資料館)を視察してから、入場し、約20分ほど卒業生へ祝辞を述べました。

 主に、自身の経験を踏まえ、未知の世界へ飛び込む勇気と気概を、卒業生の目線で語りました。蔡総統は、元々、一番難しい台北市立第一女子高級中學(以下、略称の北一女)を希望して受験勉強をしましたが、入試でわずか2点足りず、中山女高へ進学したそうです。
 そのことに失望した蔡総統のお母さんは、あまり蔡総統の教育には熱心になれなかったようで、卒業式にも出席してもらえなかった話をしていました。
 


蔡総統スピーチ時の舞台

蔡総統スピーチ時の舞台

 そして、この話は、呉麗卿(ウー・リーチン)校長にも飛び火しました。

 蔡総統は、呉校長とのやりとりの過程を紹介し、
「大変申し訳ありませんが、私はこちらの学校(中山女高)の卒業生ではありません。北一女です」
 と呉校長から言われた話を披露しました。
 それを聞いた卒業生は、歓声をあげて喜んでいました(注:卒業生だけでなく、在校生も呉校長が北一女出身であることは知っています)が、ステージの袖(上の写真で右側)で待機していた呉校長は、バツが悪そうな様子でいました。
 
 その後、蔡総統が「北一女の方は一人だけですからね、いじめるのはやめましょうね」と続けると、呉校長は蔡総統に一礼し、その場をしのぎました。

 総統の校長いじりは、正直驚きましたが、こうした雰囲気を学校全体で作れる校風は中山女高の伝統と魅力のようです。


卒業証書授与の様子

卒業証書授与の様子

 その後、蔡総統が卒業証書授与と一部表彰式の授与を行い、卒業式に花を添えました。

 


卒業アルバムの復刻版の贈呈の様子

卒業アルバムの復刻版の贈呈の様子

 最後は、呉校長から蔡総統へ記念品が贈られました。
 記念品は、学校の写真と蔡総統が卒業した時の卒業アルバムの復刻版でした。

 その際の両者は、”校長”と”総統”というよりは、どちらもタイムマシンで高校時代に戻り、少女時代を再度楽しんでいるかのようでした。両者とも卒業生たちと同じような表情をしていて、見ている私が癒されるような気持ちになりました。

 それらを終え、蔡総統は会場を後にしました。
 同時に蔡総統の周囲にいた護衛の方も、追っかけの報道陣も一斉に去り、卒業式は昨年と同じ雰囲気に戻りました。

 次回へつづく


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