海外がルーツの「私のおじいちゃん」シリーズ絵本
2017.12.15 up
世界各国から移民したおじいちゃんシリーズの絵本とルーツをテーマとした絵本「家族の木(A árvore da família)」
サンパウロ市内の移民博物館(Museu imigração)のミュージアムショップでは、「ポルトガル人の私のおじいちゃん」「アフリカ人の私のおじいちゃん」「日本人の私のおじいちゃん」など、世界各地から移民した先祖を思い、自らのルーツを考えさせるきっかけとなる絵本が販売されています。
ブラジルのパンダ出版社が発行し、作者は自らの祖父もアラブ(シリア)系移民の女性です。
「ブラジル人とは何か」。それはアメリカ合衆国などでも問い掛けることができることかもしれません。
ブラジル地理統計院(IBGE)の記録によると、ブラジルは19世紀から1970年代頃まで、世界各国から約550万人の集団移民が到着しました。彼らがさまざまな分野で今日に見るブラジルの発展に貢献してきました。
その子孫や植民地時代から居住してきたポルトガル人やアフリカから来た人々、先住民、その混血の人々が、ブラジルの領土で生まれればブラジル人とひとくくりに称されています。
絵本「家族の木」で世界各国からの移民が来たことを伝えるページ
ブラジルは1808年、ポルトガル王室の摂政だったドン・ジョアン(後のジョアン6世)が、ポルトガルに侵入してきたナポレオン軍を避けて、リオデジャネイロに王侯貴族、大商人など約1万人を引き連れてリオデジャネイロに移動しました。ポルトガルの財産を半分くらい持ち出し、ブラジルが独立するための基盤もその時に築かれたと言われています。港も開かれ、例外は別として、それまで外国の船籍の入港や外国人の居住は法律上認められていませんでしたが、ポルトガル王室のリオへの遷都でヨーロッパ人の移民に間口が開かれました。
「家族の木」の著者が自らのルーツを調べたことを紹介するページ
ブラジルは小学校低学年の社会の教科書に、ブラジルには世界各国から来た人々が暮らしていることや、自らの祖先について振り返ろうというページがあります。
ブラジルではヨーロッパ風に木の幹の部分に最初の先祖が描かれ、枝葉に子孫が描かれていきます。このような系図が親族の記念イベントで発表されることもあります。
世界各国から移民したおじいちゃんシリーズの絵本と並んで、ルーツについて考えさせる絵本「家族の木(A árvore da família)」も販売されており、先祖のファミリーヒストリーの調べ方や、自分の氏名の由来やヨーロッパなら家族の旗のデザインの意味を知るきっかけとなる話もあります。日本なら家紋のようなイメージとも言えます。
ブラジルに移民した日本人家族のパーティーで木の家系図を紹介する様子
ブラジル人に親しまれている名前も、起源をたどるとヘブライ語、ギリシア語、ラテン語、アラビア語、ドイツ語、スラブ語、先住民のツピー語、アフリカの言語など、そのルーツも多様性に富んでいることなどが紹介され、それぞれの名前の意味も紹介されています。そのような意識があるせいか、日本人の名前と分かると、その名前の意味を聞かれることもよくあります。
多民族、多人種で構成されたブラジル人だからこそ、ふと気になるのかもしれないルーツ。アイデンティティーを形成するための一つのきっかけとも言える、ブラジルらしいテーマの子ども向けの絵本シリーズです。
「家族の木(A árvore da família)」でブラジルで一般的な名前の起源となる言語とその意味を紹介するページ
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