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台湾:台北

小川 聖市(オガワ セイイチ)

職業…日本語教師、ライター

居住都市…台北市近郊の新北市(台湾)

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1年前の決勝トーナメントより

1年前の決勝トーナメントより

 台湾の高校バスケHBLの決勝トーナメントは、2年前から台北アリーナで開催されています。以前も紹介しましたが、台北アリーナは日本武道館のような位置付けで、借りるのが難しい会場で知られていて、HBLの注目度が高いことがうかがえます。それに伴い、主催者も開催者もいろいろ考え、企画を実行しています。

 その一つが、上の写真。
 私立高苑工商高級職業學校(以下、高苑工商)の廖楚翔(リャオ・ツーシャン)アシスタントコーチ(以下 AC)が1年前の準決勝のハーフタイム時に行ったプロポーズです。事前にDJや関係者と打ち合わせをしていたそうで、成功したことで「してやったり」という感じでした(注:2人は昨年10月に式を挙げました)。

 それから1年。
 高苑工商は再び決勝トーナメントの舞台に帰ってきました。
 1年前との大きな違いを挙げると、3年前に就任した田本玉(ティエン・ベンユゥイ)ヘッドコーチが1年生の時から面倒を見てきた選手が3年生になり、本当の意味で戦力が整い、チームも成熟し、優勝が十分狙える状態にある、ということ。

 今季も1、2次予選、準決勝トーナメントを順調に勝ち上がり、迎えた決勝トーナメント。


1年からチームを支えた田浩(ティエン・ハオ、一番左)

1年からチームを支えた田浩(ティエン・ハオ、一番左)

 1年生時からガードの主力選手としてチームを支えてきた田浩をはじめ、ベンチ入りした4人の3年生にとっても最後のHBL。1年前に果たせなかった決勝進出が最大の目標です。
 
 対戦相手は、1年前の廖ACのプロポーズ時の対戦相手だった台北市立松山高級中學。この時は、1点差まで追い上げたものの、あえなく敗れました。
 
 同じことは繰り返したくない。
 いや繰り返さない。

 試合前の選手たちからは、そんな強い意志が感じられました。


試合中の様子

試合中の様子

 しかし、試合は廖ACが「相手の気迫が自分たちを上回っていた。抑え切れなかった」と振り返ったように、試合開始からなすすべなく攻め込まれ、56ー85で敗れ、1年前の雪辱を果たすことができなかっただけでなく、目標にしていた決勝進出もかないませんでした。

 


試合終了後の田本玉HCと田浩

試合終了後の田本玉HCと田浩

 試合終了後、田本玉HCはうつろな表情で選手たちがクールダウンする様子を眺め、田浩はタオルを頭からかぶり涙を隠していました。

 田HCの様子からは、負けて厳しい現実を突きつけられたショックだけでなく、「あの子たちのために、私は何一つできなかった」という非力、無力感が出ていて、見ていて痛々しいものでした。


ついに…

ついに…

 その様子を見ていた学校関係者が、田HCをねぎらうために声を掛けた際、田HCはこらえ切れず、せきを切ったように涙を流しました。

 対照的に学校関係者は笑顔。田HCが就任する前は、予備予選も勝ち上がれないほど低迷していたチームでしたが、就任2年目の昨年から2年連続で決勝トーナメントに進出。田HC就任後は、優勝に手が届くところまで来たことから、その夢を学校のみんなで見られたことをうれしく思っているようでした。

 さらに話を聞いたところ、結果だけ見てこれまで努力してきた過程を否定するべきではないし、むしろ他の生徒たちに困難に立ち向かう勇気をコートで見せてくれたことへ感謝している、ということでした。

 決勝進出という目標に到達できなかったということで、次の日に行われた3位決定戦で気力が落ち、あっさり敗れたのはいただけませんでしたが、それを差し引いてもお釣りがくるくらいの健闘を見せたコーチと選手が見せた涙には、見ているこちらが思わず涙、涙でした。


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