メキシコ

メキシコ:グアダラハラ

龍崎 節子(りゅうざき せつこ)

職業…民芸品輸出、撮影コーディネート、通訳翻訳
居住都市…グアダラハラ(メキシコ・ハリスコ州)

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 19日昼すぎの地震発生直後から、メキシコ市南部の4階建て校舎が倒壊したレブサメン学園では必死の救出活動が行われていました。発生から3日目の早朝、二次災害の危険があるとして突如中止されました。

 発生当日の午後遅くから救助犬を伴った救助隊と瓦礫(がれき)撤去のために集まった多くの一般市民や軍隊が救助活動を行い、その模様をメキシコの大手テレビ局テレビサが密着レポートしていました。

 これ以上建物がつぶれないよう、細切れにした木材を歯のように組み合わせ隙間を作り、救助犬や熱感知機によって瓦礫奥に見られた「生存者反応」の元へ隊員が何度も入り込み、水のボトルを運び込みました。

 日付が変わった20日朝からは、その模様をテレビサが張り付きでリポートし、瓦礫の奥にいるのは「12歳の女児、フリーダ・ソフィアである」と情報が出ていました。


倒壊した校舎での救出活動(現地テレビ局の映像より)

倒壊した校舎での救出活動(現地テレビ局の映像より)

 市民たちは固唾をのんでその救出劇に注目し、バケツリレーを行う人々も「フリーダ・ソフィアを救え」と命がけの救出を続けていました。彼女は、倒壊した4階建ての最上階にいて「頑丈な机」の下に隙間を見つけて助けを求めている。救助隊からは「彼女の指が動いている」、彼女に飲ませるために水のボトルが中に渡され、彼女を含め3人の児童が生き残っている。突然の災害で大混乱の中、この救出は「メキシコの希望」として伝えられていました。


番組の途中で大統領が市民に訴え掛ける(現地テレビ局の映像より)

番組の途中で大統領が市民に訴え掛ける(現地テレビ局の映像より)

 ところが、テレビサが20日夜になりその中継画面に「救出開始から○○時間経過」というテロップを出し始めたころ、直接救助に当たっている海軍から「フリーダ・ソフィアもしくは校舎に取り残されているであろう児童の保護者」を探し出す動きがありました。瓦礫の中に生存者がいる。なのに、その保護者や家族が名乗りを上げない。誰の子どもなんだ。

 学校の児童リストにはフリーダ・ソフィアという名前はなく、居てもすでに所在が明らかにされており、該当する児童の保護者たちが見つからない。一度はテレビサの画面でも、その救出作業現場の隙間に担架が運び込まれる様子が見て取れ、世紀の救出劇の瞬間を今か今かと待ち望んでいました。それが、地震発生から34時間近く経過した20日の夜10時。


救出のカウントダウンの中、大統領が電話出演(現地テレビ局の映像より)

救出のカウントダウンの中、大統領が電話出演(現地テレビ局の映像より)

 救出現場からのレポートの合間に、突如政府の放送が入り、メキシコのペニャニエト大統領が約5分間にわたり、国民に向けてメッセージを伝えるという異例の事態。その直後、カメラが中継画面に戻るとそこでも大統領が直接、番組の司会者と電話で話しながら、この緊急事態を力を合わせて乗り切ろうと訴えかけます。(2に続く)




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