ブラジル

ブラジル:サンパウロ

大浦 智子(おおうら ともこ)

職業…フリーランス
居住都市…ブラジル国サンパウロ市

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サンパウロ市の保健所で黄熱病ワクチンを受けるため屋外まで伸びた行列と施設内に貼り出された黄熱病とワクチンに関するポスター

サンパウロ市の保健所で黄熱病ワクチンを受けるため屋外まで伸びた行列と施設内に貼り出された黄熱病とワクチンに関するポスター

 昨年、サンパウロ市北部の公園で、黄熱病によってサルが集団で死んだというニュースが流れました。それを機に、これまで半世紀以上サンパウロ市では発生しないと言われていた黄熱病への恐怖が市民に襲いかかりました。

 同市北部の住人は、既に昨年から黄熱病ワクチンを接種する人が多くいました。発生した公園は木々のおい茂る場所で、北部地域以外はまだそれほどシビアになる必要もないだろうと思われていました。

 ところが、今年に入って同市南部の動物園でサルが黄熱病に感染して集団で死んだというニュースが流れました。州知事は非常事態宣言を出し、動物園は一時閉園されることになりました。市民にとって身近な場所でのニュースということもあり、さらに黄熱病の恐怖が高まりました。


保健所で黄熱病の予防接種を受ける人の列

保健所で黄熱病の予防接種を受ける人の列

 昨年から続く黄熱病騒動で、保健所には黄熱病ワクチンを求めて市民が押し寄せ、数時間の行列ができてワクチンが不足するなど、一時は混乱も発生しました。緊急事態を受け、行政も徐々にオーガナイズされ、1月25日からは新たに黄熱病ワクチンが大量に各保健所に配布され、少しずつ混乱は収まっていきました。

 保健所では、市民全員が任意加入できるSUS(統一保健医療システム)のカードを持っていれば、誰もが予防接種を無料で受けられます。そのため、特に今年に入って黄熱病騒動が発生した動物園周辺の保健所では、1月25日以降、連日ワクチン接種を求めて行列ができています。

 保健所に電話で問い合わせても詳細な情報は得られず、現地へ足を運ぶしかありません。うわさでは、まずは整理券をもらい、指定日にしかワクチンは受けられないということでしたが、1月26日の時点ではまだ整理券も配り始めたばかりで、当日に受けることもできました。その後、一日に接種できるワクチンの数などもあり、まずは整理券を受け取り、早くて2、3日後に接種日が指定されるようになりました。


保健所で黄熱病予防接種の整理券を配布する職員

保健所で黄熱病予防接種の整理券を配布する職員

 これまでは、アマゾンをはじめとするブラジル北部や内陸部の都市化が進んでいな地域へ旅行する人だけが接種すればよかった黄熱病ワクチンですが、今回は人口1000万人の大都市サンパウロ圏で緊急に大量数が必要となりました。そのため、「薄められて8年しか効果のないワクチンだ」とか「接種量が少ないから一生はもたない」など、いろいろなうわさが飛び交っています。

 しかし、保健所に貼り出された黄熱病のポスターには、「このワクチンで一生効果があります」という説明が書かれてあります。また、市民のパニックを抑えるかのように「都市部では心配ありません。緑地帯に行く人は必要です」という旨の記述があります。

 あくまでも「都市型」ではなく「森林型」の黄熱病の危険性ということですが、サルが集団で死んだ公園も動物園も都市部にある緑豊かな地域です。大都市といえども、サンパウロ市はもともとマッタ・アトランチカと呼ばれる大西洋海岸森林山脈地帯の自然環境区に分類されており、元来、緑豊かな土地です。街の合間の公園なども緑の豊かさを感じる風景もあり、蚊の脅威は決して看過できません。黄熱病騒動が収まるのはもう数週間はかかりそうです。


保健所で配布された黄熱病予防接種の整理券

保健所で配布された黄熱病予防接種の整理券


保健所で黄熱病の予防接種を受ける親子

保健所で黄熱病の予防接種を受ける親子


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