オランダ

オランダ:アムステルダム

フリードリヒス カオル

職業…フリーライター

居住都市…アムステルダム市(オランダ)

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 世界に知られた、ワインの逸品産出国・ポルトガル。料理の味をさらにおいしくする、テーブル上の“名脇役”として、ワインは昼食時から夕食のデザート後までフル登場する存在です。

 現地人に、ワインとは?と質問すれば、彼らは一様にこう返答するでしょう。「芳香が楽しめ、のど越しのさわやかさを体験でき、グラスに注がれた「色」をも楽しめる、いわばオールマイティな芸術品だ!」と。

 なるほど、彼らはワインの色にも、こだわるのです。珍しいワインを求めて、多くの専門店や居酒屋めぐりをしているうち、主都リスボンの居酒屋で、ワインではありませんが、なんともいえない深い色のリキュールに出会いました。


美しい深紅が特徴。

美しい深紅が特徴。

 真紅とも違い、何とも表現のしにくい情熱的な赤い色をしたリキュール、リスボンとその周辺地域で生産される、チェリー・リキュール「ジンジーニャ」がそれです。「ジンジーニャ(Ginjinha)」は、「ジンジャ」とも呼ばれ、ススミザクラ・モレロ種の果実と、砂糖で製造されています。

 在リスボンの、フランシスコ・エスピネイラという修道士が、彼が属した教会内で醸造したものが元祖だといわれている、長い歴史を持っているそうです。ジンジーニャの原材料は、3つのみで、辛味のあるブドウ焼酎・アグアルデンテ、酸味の強いモレロ種のサクランボ、そして砂糖。これらの原材料を混ぜあわせ、3ヶ月ほど発酵させると、美しいジンジーニャが出来上がるというわけです。


チョコレートのカップに入れ、そのまま一気に。

チョコレートのカップに入れ、そのまま一気に。

 このジンジーニャ、楽しみ方は3とおりあります。ひとつは、サクランボの果実が入ったリキュールを飲み干した後、カップに残ったサクランボをじっくり味わう方法。もうひとつは、果実が入っていないリキュールだけを飲む方法。そして3つめは、小さなチョコレートのカップに、リキュールと果実を入れ、カップごと、そのまま飲んで、そして食べる方法です。


自家製も、独特な味わいが深い。

自家製も、独特な味わいが深い。

 あいにく、リスボン市周辺を離れてしまうと、ジンジーニャを気軽に飲める機会が減ってしまうのですが、このジンジーニャ、地方に住む愛好家たちによって「自家製」もされており、依頼すれば試飲させてもらえることもあるそうです。この自家製ジンジーニャですが、リスボンのそれと味の繊細さを比べれば、少々負けるそうですが、独特で濃厚な甘さが魅力的だそうです。


 愛好家たちは、ワイン専門店で、良質のアグアルデンテを購入し、中に入れるサクランボは、ハイキングがてら、丘の周辺で鈴なりになっているので、それを狩ってきて使用するのだとか。そして、サクランボと砂糖とアグアルデンテを、口の大きなガラス瓶に入れ、蓋をゆるく閉めたら3ヶ月間、地下室に保存しておくと出来上がるそうです。

 彼らによると、ジンジーニャは、忘れた頃に思い出して飲むときこそ、最高に感じるリキュールなのだそうです。「地下室に、のこぎりか何かを取りに行ったとき、あっ!と、瓶を見つけたときの感激!手塩にかけたジンジーニャを飲み干す瞬間こそ、醍醐味といえるね」というポルトガル人の言葉が印象的でした。


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