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台湾:台北

小川 聖市(オガワ セイイチ)

職業…日本語教師、ライター

居住都市…台北市近郊の新北市(台湾)

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1月12日の主要四紙の朝刊より

1月12日の主要四紙の朝刊より

 日本でも大きく報道されていますが、1月11日の総統選挙で、現職の蔡英文総統が過去最高の817万231票を獲得して再選を果たしました。
 また、立法委員選挙(国会議員選挙に相当)では与党の民進党が113議席中61議席を獲得。前回同様、単独で過半数以上を維持し、引き続き第一党となりました。

 2018年11月の統一地方選挙で、各自治体の首長のポストを大幅に減らし、劣勢になると見られた民進党。この結果に至った要因については、いろいろ言われていますが、ここでは昨年から双方の選挙活動を見ていて、気になったものを紹介していきます。


立法委員の議席構成の表も新聞紙大

立法委員の議席構成の表も新聞紙大

 民進党の勝因としては、報道済みの内容以外にも選挙活動の変化、蔡英文総統自身の成長も挙げられます。

 民進党の立法委員候補の選挙活動を見てきて、ライバル候補、その所属政党を悪し様にけなすことが少なかった印象です。

 蔡英文総統就任前の選挙のイメージは、お互いの候補者と政党がライバル陣営のことを悪し様にけなして、自分たちの優位性をアピール、強調するというものでした。

 今回見ていて、民進党の候補者は、自身のこれまでの成果、今後取り組んでいきたい政策を中心に語り、国民党を批判するときは、論点を「中国寄り」の候補者に絞って行ってきました。中には、ライバル候補者の揚げ足取りを行っている候補者もいましたが、当選した候補者でそれを行っていたのは私が見ている範囲ではいませんでした。


人が少なく、雰囲気も暗い國民党の党本部前(1月11日18:00台) 注;選挙対策本部は高雄市内

人が少なく、雰囲気も暗い國民党の党本部前(1月11日18:00台) 注;選挙対策本部は高雄市内

 一方で落選した野党・國民党の韓國瑜(ハン・グオユゥ)氏。国民党は立法委員の選挙では38議席を獲得し、前回の選挙より3議席増だったものの、単独過半数には届かず。中でも韓國瑜氏が市長を務める高雄市では、擁立した候補者が全員大きく差をつけられて落選する屈辱的なものでした。

 実際、私が見に行った國民党のある立法委員の候補者の活動では、政策を全く語らず、民進党とライバル候補をひたすらこき下ろし、過去の恨みつらみを述べ、悪口を言うだけのものになっていました。中にはしっかり政策を語り、堅実な選挙戦を行った候補者もいましたが、それが大きくかすんでしまうくらいでした。


多くの人が訪れ、盛り上がった民進党の選挙対策本部前の特設ステージ

多くの人が訪れ、盛り上がった民進党の選挙対策本部前の特設ステージ

 國民党は、選挙2日前の1月9日に総統府前の凱徳格蘭大道で集会を行いましたが、あちこちで「蔡英文を下せ!」、「民進党を下せ!」のシュプレヒコールが飛び交い、殺気立っていました。

 また、舞台では延々と民進党と蔡英文総統への悪口に終始する展開で、雰囲気は殺気立っていくばかりでした。

 民進党との大きな違いは、具体的な政策が語られていないこと。1月9日の集会では、さすがに韓國瑜氏が語っていましたが、中身は民進党のものと比べたら表面的で、投票に迷っている人たちの支持を得るには厳しい内容でした。


新聞紙大の蔡英文総統の写真

新聞紙大の蔡英文総統の写真

 一方の民進党と蔡英文総統。
 マニュフェストの作成、4年間の成果、政策説明は、国民党と差を大きくつけた部分でした。成果と政策は蘇貞昌(スー・ジェンチャン)行政院長が説明を行い、説得力を持たせました。

 蔡英文総統は、1月10日の前夜集会では力強いスピーチで投票を呼びかけ、香港から来た若者たちを励まし、「一国二制度は2300万の台湾人のために断固拒否します!」と強く言い切りました。

 2012年の総統選挙の時は、蔡総統が大学教授のような口調で話し始めたら家路につく人が目立ちました。(下記URL参照)。

http://www.ima-earth.com/contents/entry.php?id=20121162747

 2016年はスピーチ力を上げ、党全体をまとめ、当選につなげました。

 今回は2018年の統一地方選挙の惨敗、党主席辞任などの困難を乗り越えてきたこともあってか、気概、迫力、度量の広さ、余裕が自然に出てくるようになり、集まった多くの人たちを家路につかせることなく、しっかりひきつけられるようになりました。

 総統に就任してから4年。
 蔡総統自身が成長している姿を有権者に見せられたのは、自身の当選と民進党の勝利をたぐり寄せることができた要因の一つなのかもしれません。

 蔡総統の2期目は、どんな4年になるでしょうか。


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